アルクウェル王国
私たちはシルフのいた森からしばらく歩き、目的地に着いた。
「壁で覆われてて何も見えないんだけど、ここはどこなの?」
「ここはアルクウェル王国という国で、この世界で一番人口が多くとても栄えている国なんです」
「それから王国軍の駐屯地でもあるんですよね」
「はい、シルフ様の言う通りです」
王国軍っていえば魔王軍と戦ってる人たちだよね。
きっとみんな強いんだろうな。
「それでは右側に歩いていきましょう。そうしたらこの国へ入れる門がありますから」
「りょーかい!」
私たちはアルカの言う通りに城壁の右側を歩いた。
数十分歩くと何やら列を連ねている光景が見えてきた。
「あそこが門がある場所かな?」
「そのようですね、門番の方々が怪しい者ではないか入念にチェックしているので列をなしているのでしょう」
「まさかあの列に並ぶんですか?」
シルフが辟易するのも分かる。だって、あの列に並んでたら1時間ぐらいは暇しちゃうよ。
「しょうがないです、ちゃんと並んで待ちましょう」
私たちは列の最後尾に並び、待つことにした。
「それではこの国に来た理由を説明しますね」
「確かに、どうしてこの国に来たのか聞いてなかったね」
「イフリートに会うよりも大事なことがこの国にあるんですか?」
確かに、一刻も早く精霊の加護を受けた方がいいかもするけど、この国で何をするんだろ?
あ、もしかして。
「もしかしてアルカ、私と同棲するためのお家を探すためにここに来たの!?」
「そうなんですか?!なら私もカノンと一緒に住ませてください!」
「私は大歓迎だよ、シルフ!」
「カノン...!」
私とシルフがコントをしているとアルカがはぁっとため息をついてしまった。
「全く、そんな理由でここに来たのではありませんよ」
ですよね、分かってましたよ。
「ここへはお二人の修行のために来ました」
「私たちの修行のため、ですか?」
「はい。まずはギルドに行って魔物の討伐依頼を受けます」
「なるほど、魔物を討伐して修行しつつお金を稼ぎに来たんだね」
「その通りです。魔法の修行も大事ですが寝食できるぐらいのお金を稼がなければなりません」
「それで一番効率がいいのがギルドなんですね!」
アルカの言う通り、寝食できるぐらいのお金が無いと飢死してしまう。
それに、女性3人が野宿っていうのもよろしくないよね。
「ということは私たちの住む家を探すってあながち間違いではないのでは?」
「...そうですね」
あれれ、アルカがすっごいご不満な顔をしてる。
それから何の生産性もない会話を繰り返し、遂に正門の前まできた。
私は人間だけどアルカは妖精だしシルフは精霊だから門番の人たちと一悶着が起きる予感がする。
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次回は2月9日 19時00分に投稿します。