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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第2章 四大精霊・シルフ
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ベリアル?

「おいおい、精霊をぶっ殺して来いって言うから来てみれば、どうして人間サマがここにいるんだ?」


 上背がある青年の一言一言がすごく威圧感があって、気持ち悪くなってくる。

 それに心なしか、彼の周りに禍々しい黒い霧のようなものが見える。

 これが魔王軍四天王、ベリアルなんだ。


「初めまして、ベリアル。そこにいる人間は次期精霊の王女になる方ですよ」

「あぁ?人間が精霊の王女になるだぁ?何言ってんだ」


 ベリアルは私をじっと見てからケラケラ笑い始めた。苦手だなこの魔物。


「意味わかんねぇけどいいか。人間も精霊も全員まとめて殺せばいいだけだもんな!」

「花音、来ます!」

「うん!」


 ベリアルが一直線にこちらに向かってきて、殴り掛かってきた。

 早っ!

 私は間一髪で避けてベリアルと少し距離を置く。


「へぇ、今のよく避けられたな」

「私も避けれると思わなかったよ」

「私が花音に身体強化魔法をかけているので、今の花音は普段以上に動けるようになってますから」

「そうなんだ、ありがとうアルカ」

「ですが、避けてるだけじゃ倒せないです」

「そのチビの言う通りだぜ!」


 ベリアルの猛攻が止まらない。

 アルカのおかげで間一髪で避けたり、攻撃を受けても少し痛い程度で済んでるけど攻撃するタイミングが見つからない。


「これならどうだぁ!」


 ベリアルが腕を水平に振るうと、そこから無数の黒い球が現れた。

 その弾が私の方へ向かってきて、避ける間もなく直撃してしまった。


 その衝撃で私は地面に倒れこんでしまう。


「くぅ、滅茶苦茶痛い」

「花音!」


 アルカが回復魔法で私の傷を癒してくれてる。

 だけど痛みは退かない。

 戦うってこういうことなんだね。


 痛くて怖くて、すごく辛い。


 身体が死にたくないっていう恐怖で震えあがる。

 今すぐに逃げだしたい。


 だけど、それじゃ駄目なんだ。


 この恐怖を乗り越えて立ち上がらないと、アルカの笑顔が見れなくなっちゃう。


「もう終わりか人間よぉ」


 足音でベリアルが歩いてくるのが分かった。

 きっと私が弱いから油断してるんだ。


 だったら、その隙をつくまでだよ。


 アルカが私の目の前に来て心配そうな顔をしている。


「アルカ、安心して」

「え?」


 アルカの頭を撫でながら私は言葉を続ける。


「絶対に勝つから。だから信じて」

「花音...分かりました、花音が勝つって信じます」

「ありがとう。私、もう少しだけ頑張っちゃうよ」


 ベリアルの足音が止まった。

 目線を足音が止んだ方へ向けると、私の足の方にベリアルが立っているのが見えた。


 魔力も溜まったし、この距離なら外さない!

 私はすぐさま立ち上がって魔法を使う。


「『ライト』!」


 ビックスライムの時よりもかなり威力がでているのが自分でも分かる。 


「何だこれ!初級魔法の威力じゃねえぞ!」

 ベリアルは驚いてる。


「だが、所詮初級魔法だな。こんなんじゃ俺は倒れねぇぜ!」


 そんなことわかってる!

 そう、私はベリアルを驚かせるために魔法を使ってるんじゃない。

 

 ベリアルに勝つためにはもっと威力を上げないといけない。


 魔法はイメージ、きっと初級魔法でもその概念は変わらないと思う。


 アルカの笑顔を明るく照らしてくれる、最強の魔法をイメージするんだ。

 もっと、もっと出力を上げなきゃ。


「いっけーーー!!!」

「おいおい!何で急に威力が上がるんだよ!」


 私の魔法がベリアルを光で包み込み、大きな爆発を引き起こした。


「倒したのかな...?」

「ベリアルの魔力が感じられませんし、倒したみたいですね...」


 私、四天王を倒しちゃった!


「やったー!アルカ、やったよ!」

「ええ、驚きしかないですがやりましたね花音!」


 私とアルカが喜んでいると、後ろの方からパチパチと手をたたく音が聞こえてきた。

 振り返ると音の主はシルフだった。


「合格です、カノン」

「へっ?合格?」


 私の間抜けな声がトリガーになったのかな。

 緊張の糸が切れた音がしてから意識が遠のいていくのを感じた。

お読みいただきありがとうございます。

よろしければご評価、ご感想お待ちしております。

次回は2月2日 19時00分に投稿します。

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