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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第1章 ただの人間から精霊の加護をもった人間へ
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初陣

 青いゼリー状の物体が私たちのことをじっと見ている。


「これは、スライムですね」

「スライム」


 どこかで聞いたことのある名前だな。

 思い出した、結衣ちゃんに借りたRPGに出てきたモンスターだ。

 確か、かなり序盤に出てきたモンスターだった気がする。


「これは困りましたね」

「どうして?」


 もしゲームの世界とこの世界にあるスライムの戦闘力が同じなら、私でも倒せると思うんだけど。


「このモンスターは魔王軍の手下なのですが、この森にいるはずがないんです」

「もしかして、魔王軍がこの森を侵略しに来てるってこと?」

「そのようですね」


 それって結構まずい状況なのでは。

 魔王軍はもう侵略を始めてるってことだよね。

 しかも、精霊のいる場所にまで侵略しにきてるってことは、アルカの同胞が危機に晒されてるかもしれない。


「とりあえず、このスライムをどうにかしなくちゃだよね!」

「ええ、戦闘力はモンスターの中で最弱なので、今の花音でも倒せると思うのですが...」

「思うってどういうこと?」

「実は、花音に与えられている精霊の加護は完全ではないのです」

「何ですと?!」


 え、嘘でしょ!

 完全じゃないって、じゃあ私は今何ができるの?!


「今花音に与えられている加護は私の加護だけなのです。使える魔法はどちらも光属性でヒールとライトぐらいですね」

「ヒールとライト?」

「はい、ヒールは回復、ライトは攻撃魔法で、初級の魔法ですね」


 初級ということは、中級や上級の魔法もあるんだ。

 ていうか、今はそんなことを考えてる場合じゃない!


 私初級魔法しか使えないの?!


「もっと強い魔法は使えないの?」

「すみません、私の魔力が万全であればもっといい加護を与えられるのですが...」


 あぁ、アルカがしゅんっとしちゃった。

 アルカは何も悪くないのに。


「とりあえず、そのライトっていうの?使ってみるよ。ところで魔法ってどう使えばいいの?」

「魔法はイメージです」

「ほう」


 魔法はイメージですか。


「すみません。この世界では魔法を使うことは呼吸をするのと同じなので、どう教えればいいのか分からないのです」


 確かにどうやって息を吸えばいいですかと聞かれても、さっと答えられないな。


 ということは自分で何とかしないといけないね。

 

 とりあえず、魔法を使ってみよう!

 さっきのスライムに向けて、ってあれ。


「何か大きくなってない?」

「いつの間にか大きくなってますね」


 少しアルカと話をしていた合間に、スライムがビックスライムになっていた。


 これ、初級魔法で倒せるのかな?


 考えても仕方ないし、まずは魔法を使おう。

 魔法が使えなきゃ話が始まらないし!


 手を前に出して、光がビューと出てくるイメージで魔法を使おう。


「イメージ、イメージ」


 イメージが固まってくるごとに身体中から差し出した手にかけて、何かが巡ってく感覚がした。

きっと体内の魔力が手に集中してるんだと思う。


 魔力がたまってきた感じがする、今なら打てそう。


「『ライト』!」


 私がそう唱えると手から光の魔法が放たれて一瞬、前が見えなくなった。

 眩しいけど、とりあえず魔法は問題なく使えたみたいでホッとした。


 すぐに光は収まったので、私は状況を確認してみた。


 目の前には大きなスライムがいなくて、代わりに地面が結構抉れてた。

 この森の地面ってそんな柔らかかたっけ?


 アルカの方を向けば、驚き過ぎて口を閉じるのを忘れてしまっているみたい。


「この世界の魔法って初級程度でも結構威力があるんだね」

「そんなわけないじゃないですか!ライトなんて小さいスライムを倒せるか倒せないかぐらいで、どんなに極めたとしても地面が抉れることなんてないですよ!」

「そ、そうなんだ」

「そうですよ。花音、貴女は一体何者なんですか!?」


 そう言われましても。


「魔法が使えるようになった人間です」


 こう答える以外ないよ。

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