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普通の女子高校生が精霊界の王女として転生したようです  作者: よもぎ太郎
第1章 ただの人間から精霊の加護をもった人間へ
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古き友人設定

 アルカディウス様は私の肩をツンツンと突いてから、

「花音さん少しいいですか?」

て聞いてきた、可愛いな。


「何ですか、アルカディウス様」


 私がアルカディウス様の方を振り向くと、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 きっと今、私がかなりニヤついてるからそういう顔をしてるんだろうなと、察した。


「今後のために私のことはアルカディウスと呼んで欲しいのです」

「どうしてですか?」


 それに今後のためってどういうことだろう。


「これから私の同胞のもとへ花音さんを連れて行きます」

「あ、そうなんですね」


 私は今初めて目的地の場所を聞いた気がする。

 これから、精霊のところに行くんだね。

 というツッコミは心の中にしまっておき、アルカディウス様が本題に入るのを待った。


「同胞の中では私は死んだことになっています。ですので、私が妖精として転生したことを知られると、無駄に混乱させてしまいます」

「なるほど、その混乱を防ぐために名前で呼んでほしいんですね」

「はい、あともう少しフランクに話しかけてほしいです」

「理由を聞いても?」

「花音さんが転生したことも知られたくない、という理由からです」

「そっか、転生したことが広まったら、もしかしたら王国軍や魔王軍が悪用するかもしれないからだね!」

「とても察しがいいですね。...残念な部分がなければ何も言うことはないのですが」


 褒められたと思ったら貶されたよ!

 残念な部分ってどこ?!

 あ、アルカディウス様を見てニヤつくところと、色々と妄想しちゃうところか。


「私と花音さんは古くからの友人で、あるときアルカディウスから命を受けて精霊たちを救いにきた、という設定でいきたいのです」

「フランクに話すのはいいとして、フルネームで呼ぶのは嫌だな」


 私がそう言うと、アルカディウス様は心底悲しそうな顔をしていた。

 説明が足らないせいでそんな顔をさせてしまったのは本当に申し訳ない。


「ごめんなさい、説明不足でし...不足だった。その、毎回毎回アルカディウスって呼ぶの、いつか噛みそうで嫌なんだよね」

「そんなことで嫌と言ったのですか!?」


 だってさ、もし緊迫した雰囲気の中でアルカディウス様の名前を呼ぶとき、万が一噛んじゃったら恥ずかしいもん!


 これは私にとって、とても重要なことなんだよ。


「ということで、アルカディウスの名前をとってアルカかあーちゃん、どっちかで呼びたいんだけどどうかな?」

「アルカでお願いします」


 即決ですか、あーちゃんも可愛くていいと思ったんだけどな。


「了解、じゃあこれかよろしくねアルカ!」

「よろしくお願いします、花音さん」


 そういえば私とアルカは古くからの友人って設定なんだよね。


「ねぇ、私のことを呼ぶとき花音って呼んで欲しいな」

「そうですね、友人なのにさん付けはおかしいですよね。では、これからさん付けはやめます」

「うん、お願い!」

「はい、お願いされました。よろしくお願いします花音」


 笑顔で私の名前を呼ぶアルカは本当に可愛くて、見惚れちゃう。


 アルカの笑顔を目に焼き付けながら歩いていると、草むらの方からガサガサっと音がしてから、ゼリー状の青い物体が飛び出してきた。

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