プロローグ(1)
キーンコーンカーンコーン
チャイムの音が教室中に鳴り響く授業の終わりを告げる。
私はこの音をあと何回聞くことができるのだろうか。
今はこのチャイムを聞くことが当たり前となっているが、いつかきっと懐かしくなる時が来る。
その時、私はこの高校生活を十分楽しめたと思えることができるだろうか。
貴重な青春の1ページ、今の私だけでなく未来の私にも胸を張って楽しめたと言えるようにするには、どんなことをすればいいのか、窓の方を向き桜が散り新緑の葉をつけた木々を眺めながら考える。
これからは、私は後悔のない選択を慎重に選んで青春を謳歌しなければならない。
......何か今の私、小説家っぽくない?
そんなことを考えていると誰かが私に声をかけてきた。
「おーい花音、白河花音さーん」
声が聞こえたと同時に頭をぺしぺし叩かれた。
ちなみに白河花音とは私のこと。そして声をかけてきた人は私の小学生以来の親友。
「あ、朱莉ちゃん」
「あ、朱莉ちゃん、じゃないよ。ぼーっとしちゃってさ。まぁ察しは着くけど」
赤い髪が特徴的な神原朱莉ちゃん、バスケ部のエースで気配りもできるから一部の生徒からは王子何て呼ばれてる。ちなみに私は黒髪で髪の長さはミディアムだよ!
そんな王子様が私の考えていることに察しが付くなんて、伊達に親友やってないね。
でも、その察しが当たってるかどうか確かめないと!
「ほほう、では私が何を考えていたか当ててごらん?」
「何その喋り方......どうせさっきの国語の授業の影響で小説家が書きそうなそれっぽいことを考えてたんでしょ」
嘘でしょ、当たっちゃったよ。朱莉ちゃんもしかしてエスパーなのかな!
「私はエスパーじゃないよ」
「また私の心を読まれた!」
「花音は顔に出やすいのと小学生からの付き合いだから何考えてるのか大体察しがつくんだよ、それだけ」
なるほど、伊達に私と長い間親友やってないってことだね、流石朱莉ちゃん。
「はい、次は私の番。私は今何を考えてるでしょーか」
朱莉ちゃん、私も長年結衣ちゃんの親友やってないから分かるよ。
「正解は私に告白しようとしてる!」
適当なことを言ったらデコピンされた。
暴力反対だよ、朱莉ちゃん。
「うぅ~、お腹空いたから食堂行こう、かな」
「最初からそう答えなさい」
そう言って、私と朱莉ちゃんは昼食を食べに食堂に向かった。
「ねぇ花音、この前お勧めした小説覚えてる?」
「うん、覚えてるよ。確か異世界転生の本だよね?初めて読んだジャンルだけど意外と面白かったなー」
私も朱莉ちゃんもそういうジャンルの小説は読まないけど、朱莉ちゃんの弟がしつこくお勧めしてきたらしく取り敢えず読んでみたら意外にもハマってしまい、私も読んでみたら面白くてハマってしまった。
「実は今日その新刊の発売日なんだって弟が言ってたんだ」
「えっ、そうなの!買いに行こうかな」
「私も弟に頼まれたから一緒に買いに行きたいんだけど、今日ミーティング入っちゃってね」
「そっか、じゃあ一人で買いに行こうかな」
朱莉ちゃん、バスケ部本当に忙しそうだな。
「ごめんね、読んだらネタバレしない程度に感想よろしく!」
「はーい、そろそろ教室に戻ろっか」
「うん、あのさ花音」
朱莉ちゃんの方を向くといつも以上に真剣な顔してる。昼食の時間にこんな表情初めて見たな。
何だろう?
「どうしたの?」
「今週の土曜日空いてる?」
真剣な顔して何を言うのかと思ったら、これはもしかしなくても遊びのことかな。
「うん、空いてるよ」
「私その日部活ないからさ、遊びに行かない?」
やっぱり。
でも、土曜日に部活がないなんて珍しいな。まぁ、そこは気にしなくてもいっか。
「いいよー」
「ありがとう、話したい事ことはその日に話すから!さ、早く教室戻ろ」
「う、うん」
唐突にビッグワードが飛び出してきたな。大事な話って何だろう。
すっごく気になるけど、土曜日まで我慢しとこ。
変に催促してもいけないしね。
私は食器を戻して、教室に戻った。