にゃあんー
にゃあもは久しぶりの遠出でとても気分がよかった。
ご主人と2人きりでマリーにゃんが言うには、人間を超えているらしいご主人が走るのに少しばかりまた早くなったなー、なんて思いながら小さくなってリュックに潜り込んでいる今だって、久しぶりで気分がよかった。
「にゃあも、休憩するぞ」
ご主人はいつもにゃあもに優しい。
たくさん話しかけてくれるし、今はスカスカの首元がなんだか落ち着かないけどにゃあもにかっこいい首輪を、と思ってくれてるのだってくすぐったいいい気持ちになる。
「にゃあも、水と飯だ」
いつからか専用のお皿だって用意してくれて
周りが緑ばっかりで暗くなってきたって、ご主人はとっても強いいからご主人の膝の上であんしんして丸くなるのだ。
にゃあもより体が大きいご主人。
馬鹿力だけど怖々といつだって撫でてくれる。
「にゃあもはでかくなったな」
ご主人、ご主人もとっても大きくなったよ!
「久しぶりだな、二人っきりは」
頭を撫でてくれる手は優しい。
にゃあもはメルシアもマリーにゃんも嫌いではないけど、たまにご主人と2人きりで旅をした時を思い出す。
ご主人がまだ今より小さくて、にゃあもはとっても小さくて
色んなところに行ったのだ
ご主人がにゃあものために、まだ弱いにゃあもに魚を食べさせたいと塩っ辛い空気の塩辛い青いどこまでも広い水溜りに行って魚を食べさせてくれたり
にゃあものために体を強くする草を取りに行く!と緑がいっぱいでやたら高い高い山にまで行った時だって
ご主人はにゃあもを一呑みするような獣たちから守ってくれた。
「赤龍は、初めて見るな。にゃあも」
マリーにゃんはよくご主人のことを人間じゃないんじゃない?と言うけど
ご主人はとっても強いただの人間なのも知っている。
たまにぼーっとして、怪我もするし
メルシアにはよく負けている。それが男の甲斐性だなんて笑い飛ばしているけど
メルシアとにゃあもにはとても弱いのだって知っている。
「にゃあも、寝てるのか?」
ご主人が今よりトゲトゲしている頃、他の人間とあまり話さなかった頃、怖がられていた時だってにゃあもには沢山話してくれた。
暖かい空気が気持ちよくて、微睡んでいる中でもご主人の言葉はよく聞こえるしぽかぽかする。
幸せで暗いところだって怖くないんだ。