閑話、調査員1
ちょうどクラップ殿の商会がモレイミーズ領にいくと言うので同行させてもらうこととなった。
今のところ、彼がモレイミーズ領唯一の出入り商人だ。
もっとも、今回途中迄しか同行しないと言う。
森の入り口から1日ほど手前で作業をするという。
簡易宿泊施設を作ると言うことらしい。
隣街まで行って軽犯罪奴隷や借金奴隷をかなりの数を買い、連れて来ているようであるし、土木ギルドに何やら木材の加工を頼んでいるようだ。
その証拠に荷物の半数は建築機材だ。
特に気になるのが青色の筒状のものだ、あんな金属はみたことがないな?
錆びていつのだろうか?
気になって尋ねてみると青銅というものらしい、銅と何かを混ぜると固く錆びにくくなるらしい。
詳しくは鍛冶ギルドに聞いてくれということだ。
井戸に必要になるらしい。
しかし、井戸を掘るのにあんな細い筒をどう使うのだろうか?
この国では、知らない知識が使われているのだろう。
となると出所はあの男か?
確か、ネスとかいったな、一度話を聞く必要がありそうだ。
移動する事は2日、今日の野宿のポイントはについた。
昨日も思ったのだが、普通ならばもう少し手前で休息に入るはずだが思ったより進んでいる。
ここからだと昼前に村に着いてしまうがよいのだろうか?
「クラップ殿、昨日も思ったのだが、夜営地が柵で囲われているのですか?」
「ここですか、ここはアーサガ様が領主様より借り受けた土地です。モレイミーズ領までの間に3ヶ所あるんですよ。」
「こんな草原のど真ん中にですか?何に使うのです?」
「宿屋を作るのですよ、モレイミーズ領まで野宿する必要がないようにです。」
本当にそれだけだろうか?
もっと他に理由があるのではないだろうか?
わざわざ他の領地にそのようなもの建てると税を支払う必要があるはずだ。
領主とアーサガ様は懇意のなかではあるが、貴族が他の貴族に土地を貸すのに安い訳がない。
それでも採算が合うと言うのだろうか?
「もうひとついいですか?何故、この場所なのですか?もう少しいけば村がありますよね?もう少し手前でもよかったのではないのですか?」
「その点に関しましては、アーサガ様のご意向ですね。村に一泊をすると1日到着が遅れますから。」
「しかし、この街道の発展を考えれば途中の村に泊まるのも必要な事ではないですか?」
「それは、領主様の仕事であって、アーサガ様の考える事ではないですね。あくまでも拠点を作っているのはモレイミーズ領に物資を運ぶためのものですので途中の村による必要性はあまりないですね。」
「しかし、それでは途中の村の印象が悪くなるのでは?」
「それなりに物資を購入していますので宿屋をやっているもの以外は、関係は良好ですよ。それに、この拠点と村を挟んだ拠点は、距離として半日ですので往復が可能ですしね。」
あくまでもモレイミーズ領を最優先ですか。
それも仕方ありませんか。
出資したものが強いですから。
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それから1日移動すると草原の中に城壁らしきものが見えて来た。
「あれはなんですか?」
「あれ位の壁は必要でしょう。いろんな意味で。」
村単位であれば、木柵か木壁が普通だろう?それを土盛りをして壁としているとはモンスター以外のものも想定しているのだろうか?
門の建物で受け付けを済ますと鍵が渡された。
部屋の鍵のようだな。
中に入ると中央に大きな建物がある。
食堂かなにかになるのだろうか。
その建物。囲うように塀に添って扉がある、まあ、完成しているのは一部だけであるが、完成すると砦としても十分に役立つだろうな。
しかし、この建設の早さは、普通出はないような気がする。
一体いつから計画していたのだろうか?




