81、スライムの有効活用
町に行った際にポーションが劣化扱いされている理由がわかった。
ポーションを入れる瓶に違いがあるという。
手にいれようとしてみたが、薬師ギルドに加盟していないものは買うことができないらしい。
ただ、聞いたところでは、スライムを利用して作られているという。
よく最弱モンスターとして扱われるが、割りとスライムは凶悪なモンスターである。
確かに動きは鈍く、正面から戦えば子供でも倒せるのではあるが、床に限らず、天井や壁も平気でのぼり、獲物めがけて落下してくる。
一度へばり着かれるととるのが難しい。
しかも、その間消化液で溶かされるので激しい痛みを伴う。
不意討ちを喰らうと厄介なモンスターである。
しかし本来は、死骸や枯れ草、糞等を食べる掃除屋であり、他のモンスターたちに捕食される存在で生態系を支える存在でもある。
また、その粘液は光ゴケ等が好み、スライムが這った後にはよく育っている。
スライムのドロップアイテムも様々な役に立つ。
スライム皮は、水を通さないで水袋の内張等に使用できるし、スライムの粘液はノリとして使ったり、乾燥させておけば保水材として使える。
砂漠等の緑化に効果がある。
ダンジョンの農地やビオトーブの製作時に役立ってくれている。
ちなみにスライムのコアは腐葉土と水を与えておくとスライムとして復活することがわかった。
もっとも、捕食されたらまず、コアを食われるので自然界では復活しないがな。
さて、スライムを使ってポーション用の瓶を作るとしようか。
ポーション用の瓶は試験管のような形であるがどうやって作ればよいのだろうか?
取り敢えず形を作って粘液を流しこんで見るかな?
型は木でよいか、外枠と中枠を(木工もちパペットに作らせて)作って
これで乾燥させればいいだろう。
同じ型枠でスライムの皮も固定して見よう。
ー3日後ー
どうかな?
粘液の方は完全にくっついているな。
これはダメだな、外枠は燃やしてはずすことはできるが中枠を取り出すことはできないか。
スライムの皮の方もダメだな。
一応、形にはなっているが強度が足りずすぐに形が崩れる。
熱して見たらどうだろう?
これもダメだな、スライムの粘液は固まることは固まるがイビツで使い物にならない。
スライムの皮は溶けてしまった。
粉末にしてガラスと混ぜてみるか?
割合を変えていくつか試作してみよう。
(試作はパペットに任せる)
スライムの粘液を乾燥させると固くなるが粘着性が強いので形成は難しい。
大きめのブロックを作って削り出しで試して見るか。
(削り出しはパペットに任せる)
スライムの皮で、粘液を挟んで見ようか。
一回り小さめの型枠が必要になるな。
手間がかかりそうだが試してみるか。
ーさらに5日ー
乾燥に思った以上に時間がかかったな。
粘液を固めたものはその厚みのせいで、皮で挟んだものはその整形に時間が必要だった。
出来上がったものは
1、スライムの粘液を固めたものから削り出し
2、スライムの皮で粘液を挟んだもの
3、1~20%ガラスと混ぜたもの
1は失敗だった。
ポーションを入れると水分を吸収して膨らんでしまう。
2は気泡が入ってしまったがポーションの劣化がなかったので成功だな。
3も成功といってよいだろう。
試作された内20%を越えたものは冷えると割れてしまった。
割れずに残ったものの内8~9%のものがポーションを入れても劣化が起きなかった。
強度や軽さなら2、量産しやすさなら3だろうな。
取り敢えず両方採用しておくか。
長期保存した場合どうなるか検証しておかないといけないな。




