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71、買ったもの、買われたもの

30人近い狐人を購入し、獣耳に戻って来た。

カエムなどは、呆れた顔をしているが此ぐらいの人数は計画を考えると必要な数だ。

まあ、勢いで買った事は認めるが………。


森の出口とダンジョンの前、それにアサーガの村で作っている宿屋の従業員とその護衛要員だな。


従業員はパペットに教育させ、護衛要員はダンジョンに潜らせて鍛え上げれば良いだろう。

俺の補佐役としてポーションを作らせてもよいな。

教えるのはパペット達だが。


後々アサーガの村や各拠点にも移民を入れるつもりではあるのだがある程度こちらの支配力を強くして置かないといけない。

押し寄せて来るであろう冒険者達の治安維持の為にも食事と宿は必要になるからな。


今回は野良の奴隷商から買ったから仕方がないが、その内正規の奴隷商から借金奴隷や軽犯罪奴隷を買いたいものだ。

色々と技術を持ったものがいるだろう。

只、ダンジョンを開くまでの間はできるだけ情報を漏らさないようにしたい。

狐の獣人達は、形式として戦争奴隷扱いだ。

情報の漏れる心配はない。


後は、帰還してから考えるとして、当面の問題から片付けていこうか。

ムサカ君に部屋を取っておいてくれ、と頼んでおいたので大部屋を2つ確保できている。


普通は金のあまりない冒険者が雑魚寝する所で、ベットが10個置いてある敷居もない部屋であるが取り敢えずの寝床としては十分だろう。

定員は10人ではあるが床にスペースがないわけではないので男女を分けておけば良いだろう。

子供もいるからそこまで窮屈でもないだろうしな。


只、部屋に入れる前にさせておくことがある。

体を洗わせないと臭くてたまらん。

いつから洗っていないのかわからんが泥まみれ、垢まみれで臭い。

とにかく、店の裏にある井戸で体を洗わせないといけないな。

あ、服どうしようか?

もう一度今着ている服を着せるのもあれか。


「ネス様、大量に奴隷を買われたと聞きましたが?」


「ああ、クラップか、買いすぎたかもしれない。色々必要なものを買う必要があるのを忘れていた。」


「買い物は、計画的にですぞ、さしあたって必要になるのは服でしょうか?」


「ああ、よくわかるな。」


「ネス様が野良の奴隷商から買われたと聞きましたので臭いが気になるのでは?と思ったのですよ。古着屋で買い漁って来ましたのでお使い下さい。」


さすがだな、クラップ。

先を読んで服を用意してくれるとは!


「ありがたい、助かる。」







side狐人


二週間ほど前だったか、森の奥で隠れ住んでいた私たちの所に見知らぬ人属の男達がやって来た。

村長が代表として交渉に当たるためはなしかけた。


「ワシ等は人属と関わりを持つつもりはないのじゃ。水や食糧が必要なら提供するのでそっとしておいてもらえんか?」


「うるさい、黙れ。」ザシュ!


村長のくびが空に舞い、血が吹き上がる。

ゆっくりと体が倒れ、首がその横に落ちた。

一瞬のことだったが、やたらと時の立つのが遅く感じられた。


え?何が起きたの?


「キャー!!村長-!!」


遠くで誰かが叫んだ気がした。

その声に私の意識は現実に呼び戻された。


「売りもんだ!!傷つけるな!じじいとばばぁは切っていいぞ」


「「「おお!!」」」


私は村の仲間が切り捨てられ、また、捕らえられていく中、恐怖で身動きができなかった。

そんな私に人属の男が網を投げ掛けて来た。


逃げ泣けねばと思いつつ、震える足を動かそうとしても一向に動かず、そのまま捕らえられてしまった。

網を引きながら近寄って来る男に恐怖のあまり気を失ってしまった。





目が覚めると私の首には首輪がはまっていた。

そして、惨劇の後、始めて見る大きな町へ馬車に乗せられてつれてこられた。

食事もろくに与えられず、水浴び処か排泄まで馬車から出ることを許されることはなかった。

私はすでに人出はなく家畜同然なのだ。


町の広場で馬車から下ろされ、数の書かれた板を首から下げさせられた。

この数が私の値段だ。


しばらく、茫然と座り込んでいると黒髪の人属が私を、いや私達全員を買った。


そして何も言わずただついて来いと命じた。

人属のようでどこか違う人に思える。

この人は悪魔だろうか………それとも………。






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