70、大量購入
「すまないが、奴隷を見せてくれるか?」
俺は奴隷商に声をかけた。
「おお、これはお目の高い、いい奴隷が揃っておりますのでゆっくりとご覧ください。」
随分と下手に出るな。
買うようなものがいなかったんだろうか?
まあ、安い買い物ではないしな。
普通に考えると人手が欲しければ借金奴隷や軽犯罪奴隷の方がよいだろう。
後で、そっちも見に行くかな?
買うつもりはないが、いずれ購入したいな。
計画が進めば必要になるだろうからな。
しかし、今、欲しいのは情報を漏らさないものだ!
その点戦争奴隷扱いの獣人達は理想的だな。
後は保有スキル次第ではあるが、ないならないで仕事はいくらでもあるからで心配要らない。
鎖に繋がれている獣人達を1人1人確認して回る。
首から値札を下げているので予算建てしやすいのがありがたい。
此処にいるのは狐の獣人達だ。
老人はおらず、男性は30代が2人、20代が5人、十代後半が3人、前半が2人、それ以下が2人だな。
女性は30代が1人、20代が3人、10代後半が2人、十代前半が5人、それ以下が4人だ。
幼児と老人は商品価値が低いから放置されたか、殺されたかどちらかだろう。
わざわざ、使い物にならないものをつれ回す余裕などないのだろう。
さて、どうするかな?
全員買うとなれば男性14人、女性15人だな。
随所大所帯になってしまうが平均すると1人金貨10枚位だ。
全員買うとしても金貨300枚といった所であるしな。
問題は一個人がこれだけの人間を買うことだな。
俺が拠点としているのはアサーガの村であり、開拓中の村だ。
そこにこれだけの配下をもつ人物がいるのは問題になりそうだ。
とは言え、ほぼ、一族の生き残りが纏まって売りに出される事はないだろうし、悩ましいな。
まあ、いい買ってしまおうか。
いざとなれば、村がモンスターに襲われた事にして、一部をダンジョンないに移動させればよいだろう。
「店主、全員買うから金貨200枚でどうだ?」
値切りは基本だな。
取り敢えず3割位の値引きを言ってみよう。
「兄さん、こっちもそれなりに危ない橋を渡っていますんで290で。」
「売れていなさそうだしな。違う町には行くことを思えば210で。」
「そんなことないですよ。狐人は人気ですから。280。」
「随分と痩せているじゃないか?220」
「狐人は痩せているもんですが、270」
「230」「260」「250」「………。仕方ありません。金貨250枚で手を打ちましょう。」
ヨシ、金貨50枚負けさせることができた。
まあ、実際はもっと負けさせることが出来たんだろうが俺ではこれが限界だな。
売ってもらえなければ意味がないしな。
「では、これに血を垂らして下さい。」
そう言ってじゃらじゃらとコインのようなものを取り出した。
「これは?」
「隷属の首輪の誓約書のようなものです。これに血を垂らせば主人と認識されます。その後、体内に収納出来ますので邪魔のもなりません。」
「ほう、便利なものがあるな。」
「代金の半分はこれの費用ですからな。ガッハハハハッ」
下卑た笑いをするやつだな。
「ネスさん此処におられましたか?」
ムサカ君がカエム達をつれてきたようだな。
「カエムか、わざわざすまないな、もう少し待っていてくれ。商人代金はこれでよいか?」
そう言って金貨をマジックバックから取り出した。
「ええ、もう少し数えますのでお待ちください。」
俺はその間にメダルに血を垂らした。
すると頭の中にパスらしきものができたのがわかる。
ほう、これで奴隷を制御するのか。
あまりに沢山のパスを繋いでしまったのか少し頭が痛いが我慢できないほどでもないな。
「ネスさん大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。問題ない。」
「沢山お買い上げくださってありがとうございます。確かに頂戴しました。」
「よい取引だった。」




