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69、市場にて

人だかりはの中心では《人》が鎖に繋がれていた。


「ムサカ君?あれは?」


隣にいるムサカ君に訊ねた。


「野良の奴隷商ですね。まちから町へと奴隷を売り歩いているんです。」


「町には店を構えた奴隷商がいるのだよな?」


「ええ、いろんな面で違いはあるのですが。」


そういいながら違いを教えてくれた。

町の奴隷商は、ある程度奴隷に教育を施す。

作法や振るまい方等だ。

そういった振るまいができた方が高く売れる。

また、食事や身嗜みにもある程度気を付けている。

ガリガリに痩せていたり、垢まみれだったりするものを欲しいと思うものは少ないだろう。

店の品位にも関わるからな。


いわゆる野良の奴隷商は逆に教育等一切することはない。

垢まみれだろうがガリガリだろうが一切気にしない。

仕入れた奴隷が生きていればそれでいいのだ。

旅から旅に移動する彼らにとって教育を施すのはコスト以外の何者でもなく店を持たないので品位等気にしない。


売られている奴隷にも差がある。

奴隷にも種類があり、借金奴隷、軽犯罪奴隷、重犯罪奴隷、戦争奴隷の4つがある。

借金奴隷は、借金の形に一定期間、身を売ったものであり一種の労働契約に近い。

軽犯罪奴隷は、犯罪の刑期として身を売られたものであるが刑期分の労働契約が終われば解放しなくてはいけない。


借金奴隷、軽犯罪奴隷共にあくまでも契約による労働力でしかなく、刑期や借金労働期間が終われば必ず解放しなくてはならず、また、キチンと人としての生活をさせないといけない。

また、所在確認を半年に一度しなくてはならず、その時、生活状況の確認もされる。

たまに性行為の強要が発覚して、購入したものが逮捕される事もある。


重犯罪奴隷は、逆に人とは扱われない。

例え鉱山等の苛酷な現場で働かせて命を落としたとしても、奴隷の購入者が咎められる事はない。

年に一度保有人数の確認と死亡数のみ報告する義務があるだけである。

また、絶対に奴隷から解放されることはない。


戦争奴隷は、重犯罪奴隷とほぼ同じ扱いであるが、保有者は購入した奴隷の姓名を登録する義務がある。

国と国の協定等で解放する事があるからでその時は無償で国に返還義務がある。



「問題としては戦争奴隷の中での獣人達の扱いです。」




今から300年ほど前から隣国から伝わってきた、人間種至上主義を掲げる星光教団がこの国に(特に貴族)広まりだした。

獣人を人とは認めず、神が人に与えた動物であり、それを使うのが人とはしての義務であると。


各地で獣人に対する差別が横行し始め、その事に多くの獣人達は反攻し各地で騒ぎを起こしたのだが、それが逆に裏目に出た。

各地で獣人狩りが行われて、生き残った獣人達は隣国に逃げ出す事もできず、辺境で隠れすむようになった。


しかし、各地で辺境の開発が進むと獣人達の村が発見され多くの獣人が戦争奴隷として売られることになる。

戦争奴隷として扱われるが助けてくれる自国がないので解放されることはまずない。


野良の奴隷商はそういった獣人の村を襲い奴隷として売るものも多くいる。





「ムサカ君、ちょっと頼みがある、獣耳に行ってカエム達を呼んで来て欲しい。それと部屋の確保もしてくれ。」


「彼らを買うおつもりですか?」


「ああ、出来れば全員買いたいものだが、ああいった連中を相手にするとトラブルになるかも知れんからな、カエム達の力が欲しい。」


「わかりました、行ってきます。」


「頼んだよ。」


ムサカ君が駆けて行くのを見送った俺は奴隷商の元に向かった。

早くしないと他の者が買ってしまうかも知れないからな。

先に押さえておかないとな。

その上で交渉を引き伸ばしてムサカ君の帰りを待つとしようか。

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