67、ギルドにてⅢ
道具屋は中々良いものを置いていたな。
この本は掘り出しものだ。
しかし、瓶が買えないのは想定外だったな。
まあ、材料がわかったからなんとかなるか?
売るときに文句が出なければよいが………。
ギルドで買い取りをしてくれるようだがレシピ公開をしろなんて言われないよな?
さて、次にいこう。
「ムサカ君、次はどこにいこうか?」
「そうですね、市場はもう少ししてからの方がよいと思いますから、先にギルドに向かいましょう、そろそろ空いてきている頃でしょうから。」
「そうだな、先にギルドに向かおうか。」
というわけでギルドに着いた。
結構まだ冒険者達がいるが、カウンターは空いている。
冒険者達は、パーティー毎に集まって何やら話し込んでいる。
取った依頼をどうするか相談しているようだ。
「おはようございます。カードできていますか?」
俺は、昨日のおっさんに声をかけた。
「ああ、出来ているぞ。所ですまんが少し時間をもらえないか?」
「?まあ、いいが?こいつも一緒でいいか?」
「そいつは確かムサカだったな、クラップの所の。たまにクラップのお使いでギルドに来ていたな。こいつなら構わないか、クラップにも関わりのある話だからな。じゃあ、ついてきてくれ。」
さて、一体何があったんだろう?
あまり深くギルドと付き合いをしたくないのだが。
「ここだ、入ってくれ。」
二階の一室の前でそう言っておっさんは、ノックもせずに中に入っていった。
部屋には《ギルドマスター》の札がついていた。
あのおっさんギルドマスターかよ。
面倒くさい事になってきたな。
そう思いながらムサカ君を見ると'僕は知っていましたよ'って顔をしている。
知っていたなら言ってくれよ。
「ギルドマスターとは知らず申し訳ありませんでした。」
取り敢えず謝っておこう。
「気にすることはない。若い連中は俺がギルドマスターであることを知っていることの方が少ないからな。」
「しかしまたなんでギルドマスターが受付なんかしているのです?」
「理由は簡単だ、単なる人手不足なだけだ。受付を任せられるものがおらんのだよ。」
「若い女性でも雇えば華やかになるんじゃありませんか?」
「無理だ、若い女性では、冒険者達に押し負ける、自身を過信して無理な依頼を受けて失敗する事が目に見えている。ただの失敗ならまだよいが、冒険者の失敗は=死と言っても過言ではないからな。ある程度経験を経たものでないと受け付けをまかせられん。」
なるほど、それなりに考えてのことか。
小さいギルドならではの理由だな。
「理解しました、それで俺を此処に呼んだ理由はなんです?特に思い当たらないのですが?」
「まずは謝らせてくれ、すまなかった。」
「何故、謝るんです?理由を聞かせてください。」
「昨日、オークションに出すと言ってマジックポーチを預かっただろう。実は、オークションに出す事が出来なくなった。この町の領主がどこからか話を聞いたようでな、買い取られてしまった。」
ジャラ、とギルドマスターは小さい袋を取り出した。
フム、袋の大きさから見て金貨20枚位か?
「中身を拝見しますよ。」
当たりか、ふざけているな、確かに10キロ程度のアイテムポーチならこんなものかも知れないのだが、あれは時間停止の効果付きだ。
「これは侘びとしてですか?代金はどこです?」
「何のことかな?」
「桁が1つ以上違いませんか?」
「?これぐらいだろう?少し安いかもしれんがそこはすぐ金になってよかったとでも思って諦めてくれないか?」
これは、マジに理解してない?
「多少のピンハネは覚悟の上でしたが「ギクッ」あのマジックポーチは時間停止の効果が有ります。「何!!」少なくも金貨500枚はするでしょう。」
ギルドマスターの顔色が青くなっている。
嘘の付けんひとだな。
「で、どうしてくれるんです?」
「………。金貨300で手を「嫌です」………ダメか。」
「オークションにかければ7~800枚は固いでしょう。ですのでピンハネ分を除いて500枚かマジックポーチの返還を求めます。」




