64、付与
本日二話
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「それでは、私は店に帰ります。」
そういえばクラップはこの町に店があるのだったな。
明日にでも訪ねることにしよう。
宿屋の食堂では、何故か店長がポージングしており、客が囃し立てている。
先程の酔っぱらい達は店の片隅に積み重なった状態で放置されているがそれでよいのだろうか?
まあ、気にする事ではない、狐耳の店員に声をかけて部屋の鍵を貰い、二階の個室にむかった。
エルム達はまだ酒を飲むようだな、他の客と共に店長を囃し立てている。
仕事が終われば酒を飲んで騒ぐ、冒険者らしいかな。
この調子だと二日酔いになるものが多発しそうだが、1人、二人元気なものが入れば案内を頼めるから問題ない。
…………。
全滅しないよな?
部屋は201号室だな。
2畳位の広さでベットとサイドテーブルがあるだけだ。
もちろん、トイレは共用、風呂はなしだ。
宿の裏に井戸があるからそこで水浴びをしてくれとのことだ。
もう、帰りたくなって来たな。
早めにダンジョンエリアを広げて一軒家でも借りたいものだ。
さて、購入した本の整理をしておこうか。
購入した本は全部で32冊だな。
物語の本が13冊、歴史書が6冊、地理書が4冊、日記が3冊、魔道書が5冊、そして付与魔道書が一冊だった。
付与魔道書があったのはありがたいな。
武器の製造の限界を感じていた。
鉄以上の金属が手に入らなかったからな。
戦力強化に持ってこいだ。
少し読んでみるか。
…………、これはかなり手強そうだ。
よく小説とかで日本語変換すれば楽に作れるなんて事はないな。
まず、必要なものは、魔晶石、魔力紙、魔力水、墨、魔物の血、銀、宝石が基本材料だ。
上位になればミスリルや世界樹の葉、ユニコーンの角等が必要になって来るが今はまだ無視してよいだろう。
魔力紙は、植物モンスターから作ったもの、蜘蛛型モンスターや芋虫型モンスターの糸を織った布等を指す。
植物紙の知識が失われているようだから購入するのは難しいだろう、
モンスターの糸は肌触りの良さから貴族に、丈夫さから騎士や冒険者に人気がありこちらも品薄状態で付与魔道に使う余裕はあまりない。
まあ、どちらもダンジョン内で生産可能だから構わないが…………。
モンスターの血は、高ランクのものほどよいが宝石や魔晶石の容量の問題もあり、あまりランク違いのものを使う事もできないようだ。
また、モンスターの属性も性能に影響する。
宝石は、その種類によって封じ込められる属性が決まる。
基本属性
ダイヤ 光属性
ルビー 炎属性
サファイア 水属性
エメラルド 風属性
トパーズ 土属性
オニキス 闇属性
雷、樹、氷、時空等の上位属性の情報はのっていなかったのが残念だ。
まあ、あくまでも親和性の問題だから属性違いでも効果が多少落ちる事を気にしなければ付与する事は可能らしい。
特に水晶は無属性の為汎用性に富むらしい。
作り方としては
1,魔力水で墨を溶きそこに魔物の血を混ぜる。
(分量配合はのっていなかった。)
2,魔力紙にその墨を使い魔法陣を書く。
(簡単なものしか乗っていなかった。)
3,魔法陣の上に宝石を乗せ、四辺に魔晶石を配置する。
4,付与魔法で魔法陣を宝石の中に封じ込める。
(付与する属性と同じ魔法力を注ぐ必要がある。)
5,アイテムに銀糸で指定の紋章を書き土台を作る。
6,宝石を土台に填め魔力を注ぎ、馴染ませる。
7,しばらく養生させて完成。
中々手間暇がかかるものだな。
ただ、分業で問題無さそうなのが助かる所だ。
魔法陣を書いたり、土台を作ったりするのはパペット達に任せることができる。
パペット達は精密、作業に向いているからな。
銀や宝石を手に入れる方法を考えないとな。
宝石を落とすようなモンスターがいないものだろうか?
他のダンジョンマスターに聞いてみるのもよいな。
銀は土から錬金術で少しは手にはいるから多少ストックがある。
ブロンズタートルが進化すればシルバータートルが出てくるかもしれないな。
魔力水に関しては、魔晶石を水に入れておけばできる。
ダンジョンに帰ってから研究する必要があるな。
書物の収集は続けていこう。
出きればマジックアイテムも集めたいものだな。
解析できれば量産も可能だ。




