58、ギルドにてⅠ
城門を抜け始めに感じたのは【臭い】臭いだった。
よく見るとあちらこちらに茶色い物体が落ちている。
トイレの文化はないのか?
まあ、中世ヨーロッパの都市と考えればこんなものだろうか。
いずれダンジョンエリアに取り込んだ時に絶対に綺麗にしてやろう。
アサーガはシデンをつれて《キンジョウ》の領主のところへ、クラップは、残りのものをつれて一旦自分の店に向かった。
そして俺はカエムとチャターに案内されて冒険者ギルドにいくこととなった。
カエム達も冒険者ギルドに帰還と新人のキャロット、アーク、ウンカイの報告をする必要があるから丁度いい。
キャロット達3人は今回初めてクラップの商隊に参加した訳だが、彼らは不足したメンバーの補充としてギルドに依頼を出して雇った者達であり、正規メンバーとは言えない。
よって彼らより先にギルドに報告する必要がある。
まあ、ブレインイーターを寄生させているのでパーティー入りは確実なのだが、一度はキチンとギルドを通さないとな。
その他の情報と合わせて色々教わりながら向かう。
そうこうしていると冒険者ギルドに着いた。
二階建ての建物で入り口にはウェスタンドアがついている。
建物の隣は酒場か。
ここは受付と酒場が一体化していないのだな。
よく一体化していることが多いが、元々酒場が依頼を受け渡ししていた名残であり実際には、分けた方が効率的に決まっている。
強面の酔っぱらいがたわむろしている場所に入りたい一般人は少ないだろう。
中に入るといくつかに別れたカウンターがある。
買い取り受付、依頼受付、報告受付、外来受付等に別れているな。
「では、ネス様、我々は報告の手続きを行って参ります。その間にあちらの窓口で登録を済ませて下さい。」
そう言ってカエムとチャターは報告受付に向かった。
カエムがいくようにいったのは外来受付だな。
ここは住民から依頼を受付する窓口であり冒険者為の受付もしているようだ。
………厳ついおっさんが受付に座っているな。
買い取り受付はムキムキのおっさんだな。
あと二つは魔法使いぽい青年と僧侶のおばちゃんが座っている。
ここは普通美女じゃないのか?
おっさんなんかが座ってもな、やる気が失せそうだ。
冒険者は荒くれ者が多いからな。
実地で鍛えられた戦闘力と知識が必要になるのだろう。
領都といっても地方都市だから人口もさほど多い訳でもない。
一万といった所だろうか?
中世ヨーロッパと同じ位の識字率と考えれば15パーセント~20パーセント位だろう。
そこから商人や役人、兵士や僧侶等を抜けば5パーセントいくかいかないかだろう。
女性の地位が低い世界であれば、女性の識字率はもっと低いだろう。
よほどのことがなければ冒険者ギルド受付等しないだろう。
となれば、よそから人員を入れる事は難しいので、引退した冒険者を雇うのがてっとり早い。
中級以上の冒険者の識字率は、割と高い。
依頼表の確認や必要な情報を得るために文献を探す等しなくては生き残れないし、依頼も達成出来ないことが多い。
逆を言えば読み書き能力があるものが中級以上に登れると言うことだ。
自分達の能力の範囲内での仕事を受ける事が生き残る為に必要なことであり、また、理不尽な依頼を回避できると言うことだ。
生き残り、引退した冒険者の受け皿としてギルドが雇っている側面もあるだろうし、経験豊かな元冒険者ならばアドバイスも可能だろう。
さて、さっさと登録を済まそうか。
「すいません、冒険者登録をしたいのですが。」
「ん、兄ちゃん冒険者になるのか?やめときな、ぼんぼんがやるもんじゃない、すぐ死ぬぞ。」
「仕方ないんだよ、町に入るためには身分書が必要なんだ。」
「身分書か、お前どこの出だ?村長が紹介状を書いてくれるはずだが持っているか?」
「アサーガ様に書いてもらった、クラップ殿のもある。」
「出してくれ………。よかろう、ギルド書を発効しよう。ギルドについては知っているか?」
「ああ、クラップ殿の護衛の者に聞いている。今もカエムとチャターに案内してもらった。」
「ランクのこともか?」
「ああ、A、B、CとSの4つでそれぞれ+と-があるんだろう。」
「それじゃ、説明は要らんな。C-から初めてもらう。所で拠点はどうする?」
「アサーガ様の村で厄介になるつもりだが問題はあるのか?」
「功績点に問題が出そうだな、この町にいないと依頼が受けれないだろう、そうすると月5回の依頼達成が無理になるな………。明日の昼過ぎに一度はギルドに来てくれ、ギルドに所属を維持する方法を協議しておく。」




