56、出発
さて、村に戻って来るとすでに馬車の準備はできていた。
クラップが持ってきたもののほとんどは食糧と塩、雑貨等でこの村からは、モンスターの毛皮や魔石、薬草等だな。
開拓村が売れるものはこんなものだろう。
食糧を売るわけにはいかないからな。
魔石ならいくらでも準備できるのだが、そんなに多く出すと不自然だろう。
領都にいった時、俺個人が保有していたものとして売った方がよいな。
ポーションも売るつもりだ。
ポーションの劣化の理由がわかればいい商品になると思う。
劣化した状態で通常のポーションと回復量が同じだからな。
「ネス様、そろそろ出発いたしたいと思いますがいかがでしょうか?」
クラップがそう言ってきた。
「ああ、構わない、出発しよう。」
と思っていた時期もありました。
村を出てから1時間、もう、村に帰りたいです。
あまりに道が悪すぎる。
酔って気持ち悪いは、でこぼこ道で尻は痛いわさんざんだな。
もう限界だな、歩くとしよう。
配下のモンスター達が森を出るまでは周辺警護をしているから気をはる必要もないだろう、少し道をよくしたいが、今やると目立つだろうな。
取り敢えず、魔縄で森の出口まで繋いでおこう。
そのためにダンジョンから魔縄を持ってきたのだからな。
クラップから聞いたところによると大抵は森に入る前に手前で野宿していたらしいからな、出口の付近をエリア化しておいて簡易宿泊ができる施設を作る準備をさせておきたい。
出口の宿泊施設、それにダンジョン前の施設の人員が必要だな。
村にももう少し住人が必要だしな。
一体何人増やす必要があるだろうか?
ダンジョン前の施設はまだ無人で問題ないがここには宿泊施設と売店が必要だから5~6人という所だろう。
出口の施設は、宿泊のみだがある程度の周辺開拓ようにも人員がいるからここには7~8人といった所だろう。
村はできるだけ多い方がよいのだが当面は俺のアシスタント用に2人ほどと宿泊施設に3~4人といった所だろう。
当面の確保人員は15~16人ほどか。
ちと、多いか。
一度に集めると変に思われるな。
しかも今のところは領都までしかいく予定はないし、1ヵ所で大量に奴隷を仕入れては値段が高騰してしまうか。
クラップに少し足を伸ばしてもらって集めてもらおうか。
集めてもらう食糧等は多少減らしてもよいか。
ダンジョンから運び込めば不足することもないだろうし、パペット達に開墾させれば、他の仕事に人員を回せるからな。
増やす人員は子供でも構わないだろう。
まあ、小さすぎるのも困るが。
どの位買えるかは実際に見てからにしよう。
不足するようならダンジョンマスターの町で買えばよいだろう。
高くつくがな。
後は、売れる商品の開発だな。
できれば転生者より先に色々押さえておきたいがなにかよいものがあったかな?
今後の予定を考えながら馬車に付いて歩くこと6時間位で森を抜けた。
さすがきついな、他のメンバーよりステータスは上のはずだが、現地の人間の方が耐久力があるのだろうか?
「ネス様、今日はここで夜営をおこないます。」
「そうか、わかった。」
森から出ると草原が広がっている。
ここで夜営か。
付近に夜営した後がいくつかあるな。
近くに水場でもあるのだろうか?
アサーガとクラップ以外は夜営の準備をしているので手が空いているクラップに聞くとするか。
「クラップ、いつもここで夜営をしているのか?」
「はい、いつもこの辺りですね。」
「ここを選んだ訳はあるのか?例えば水場が近くにあるとか?」
「そうですね、森から少し離れた場所ですから、森のモンスターはあまりこの辺りまで来ることがないという点と隣村との真ん中辺りという点です。水場はこの辺りにはいっさいありません。」
水場がないだと?
そんなところで夜営するのか、まあ、村と村の間だから問題ないのかな?
出口に作る施設には井戸を作る必要があるな。
てっとり早いのは上総ぼりか?
しかしあれは竹を使うしな、掘り鉄管でいくことにするか、手押しポンプは他のダンジョンで出ているはずだし問題ないだろう。
あ、パイプはどうするかな?
土魔法と錬金術を使えばなんとかなるか。
早めに拠点を整備した方がよいだろう。




