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47、ちょっとした嫌がらせ

ワスーレの店は盛況で用意した味噌汁200杯分完売となった。

古参ダンジョンマスターは50余人だから一人の3杯はのんだ計算になる。

新人のダンジョンマスターは呆れた様子で見ていたが。

彼らにはまだわからないだろう。

ダンジョンマスターとしての食事の貧しさが。

ある程度は改善してきているから古参ほどの苦労はないだろうがな。


ワスーレの救援を蹴って何をしていたかと言うと協力者を探していたのだ。

現在、冒険者との攻防をしているダンジョンマスターを。



「協力を感謝する。」


集まった12人のダンジョンマスターに頭を下げた。


「転生者が来る前に嫌がらせをしたいと言うことだが一体俺たちを集めて何がしたいんだ?」


「俺たちに損はないんだろうな?」


「皆の損はないと考えている。ようは、今後現れるのが確定している転生者の内政チートを先に潰しておこうと言うことだ。」


そう言ってダンジョンマスターたちを見回した。

ほう、とこれだけで理解するもの、何の事だ?とピンと来ないもの様々だ。しかし理解できなくても面白そうと言う気配がする。


「さて、転生者の内政チートを封じる理由は資金面を潰すのが目的だ。今はまだ生まれていないのだからな。大体10年の余裕があると考えている。」


「なるほど、資金潰しか。で、方法は?」


一人のダンジョンマスターが聞いてきた。

こいつは割りと頭が回るようだな。

話が進めやすい。


「今、侵入している冒険者に与えてしまえばよい。」


「どうやって?」


「ダンジョンと言えば宝箱だ。現品でもよいし製造方法でもいいがそれを入れておけば勝手に広めてくれる。」


「何を入れるんだ?」


「例えば石鹸の作り方を書いた巻物とか、リバーシの現物とかがよいと思う。」


「テンプレの品だな。確かに転生者がやりそうなものだな。それはよいな。」


「他になにかあれば言ってくれ。低コストでできるものがよいな。」


俺がそう言うと今まで黙って聞いていたものたちが一斉に議論を始めた。


「しかし、広まるか?相手は冒険者だぞ、商売にして広めることができるとは思わないが?」


「冒険者自身が商売しなくてもギルドなりに売れば問題ない。後は、商人たちが勝手に広めてくれる。」


「テンプレで言うとのほーく農法とか言うやつはどうだ?」


「ノーフォーク農法だよ。それは無理じゃないか?初期コストが大分かかるし、結果が出るまで下手したら10年近くかかる。優秀な官僚とか大貴族の目にでも止まらない限り広まらないよ。」


「手押しポンプはどうだろう?現物があれば複製は可能だろう。」


「蒸留器なんかはどうだ?」


「日本刀の作り方は?」


「ばか野郎、冒険者全般の戦力をあげるものは俺たちが危険だ。」




ケンケンガクガク




ダンジョンマスターたちが活発に意見を戦わせた結果取り敢えず試しに出す品が決まった。



手押しポンプ

石鹸の製法

リバーシ

チェス

将棋

マヨネーズの製法



この6つだな。

余りよいアイデアが出なかった。

現地で自分達がするには向くものであっても相手に渡すのは怖いものが多い。

計画倒れな感じになってしまったが、仕方ないか。

所詮嫌がらせ程度のものだしな。


「取り敢えず今日の所はこの辺にしておくか。品は俺の方で用意しておく。後で届けよう。」


「いいのか?」


「ああ、俺が声をかけたんだし、それぐらいはやるよ。」


「助かる、こっちでは作れないからな。」


「また、なにか思い付いたものがあれば教えてくれ、よさげなものがあれば作って贈るから。」


「それでいい、で例のものは貰えるのか?」


「おう、これだろ。みんなの分もあるから持って帰ってくれ。」


俺が集まってもらうために用意したのが味噌と醤油にワインを見せた。


「「「「「おおーーーーーーーーーー!」」」」」


「これで塩味のみの生活から抜け出せる!」


「酒だ、夢にまで見た酒がここに、うぅぅ。」


「泣くな、ばか野郎!!」


「ありがとう、ありがとう。」


「助かるよ。」


口々に礼をいい大事そうに品を抱えて帰っていった。

ワスーレに悪いことをしたかな?

そんなに量を渡していないし、持って帰ったものが無くなれば戻って来るから問題ない。


さて、どんな結果になるかな?



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