43、猫人とドワーフ
取り敢えず二人の首根っこをつかみ部屋に引きずり込んだ。
二人の様子を遠巻きに見ていた他のダンジョンマスターの目が痛かったからな。
そして今二人は俺の前で土下座している。
「「ごめんなさい、我慢できませんでした!!」」
詳しく話を聞くとダンジョンマスターになって種族特性が強く出るようになったのだが、酒や魚が全く手に入らず禁断症状のようなものが出ていて、その匂いがする俺に声をかけたらしい。
そして鰹節や酒を見た瞬間理性が飛んだらしい。
「いやはや、本当に申し訳なかったじゃ。」
「後免ニャさいニャ。」
「もういいよ、二人とも。しかし、そんなに手に入らないのか?酒ならオークションに何度も出しているし、固定額でも少数だが変えたはずだ、魚なら頑張ればモンスターガチャで出るだろうに。」
「オークションでは競り負けたのじゃ、通常販売の方も変えんかったのじゃ。」
「お魚、ガチャをいくら引いても出なかったニャ。」
それは残念だな、運が悪いとしかいいようがないが魚系モンスターの比率は低いから仕方ないな。
「そこで、すまんが定期的に酒を卸してくれんかの。」
「お魚もお願いしたいニャ。」
「う~ん。値段次第だな。あなた方だけに卸す訳にはいかないからな。」
「「ポイントがない(ニャ)」」
「代わりのものはないか?何か売れるものは?」
「ワシの所は武器や防具位仕方ないが?しかも鉄や銅、青銅製のものしかないんじゃが?」
ドワーフの武器や防具?それは願ってもないな。
ドワーフの鍛冶は一級品だ。
材質が劣っても手に入るなら最高だな。
「どんな武器があるのかは後で見せてもらおう。後は、質と量だがどのくらいで買うかは用相談ということでよいか?」
「ワシの方はいいぞい。只、そんなに材料があるわけでもないからの、多くは作れんが。」
「腕の方を見せてもらってから出ないとなんとも言えないが、材料の方はこちらでなんとかしよう。加工代ということにするか。」
「そうしてくれると助かるじゃ。」
巌鉄に関してはこれでよいか。
後は、ワスーレの方はどうかな?
「ワスーレは何が出せる?」
「ニャ?ちなみに一本おいくらかニャ?」
「製造に手間がかかっているし100ポイント位かな?」
「高いニャ、安くはならないかニャ?」
「Sタイプ召喚で材料を用意しているから無理。」
「そうニャ!!これはどうニャ?」
「………!!これは!ひょっとして?」
「そうニャ!!少ないけど種籾ニャ。」
そう、これは、探し求めていた米だ!
量にして半合あるかないかだが籾の状態で俺の目の前にある。
種籾さえあれば増やすことは可能だ。
ぜひとも欲しいものだが、どのぐらいの値をつけるべきか?
将来性を踏まえてどうする?
「鰹節50本に煮干一キロでどうだ?」
「ニャ?もう少しおまけしてほしいニャ?」
「え~い、持ってけ泥棒!!取って置きのあご節と鯖節を5本づつつけてやる。」
「ニャ?」
「………。」
ガシッ!!
俺たちは固く握手をした。
商談成立だな。
「商談はまとまったようじゃな?ではいくとしよう。せっかくのただ飯じゃて、食わんと損じゃよ。」
そうだな。
こんなところで遊んでいる場合じゃないな。
他のダンジョンマスターの様子も気になるし外に出ようか。
俺はワスーレと巌鉄を伴い外に出た。
すでに広場に設けられたテーブルにはいろんな種族のダンジョンマスターたちが各々皿を持って食事を楽しんでいる。
必死に料理に向かっているもの、料理を口にして微妙な顔をしているもの、料理そっちのけで商談しているもの、様々だな。
取り敢えず料理を食べて見ますか?
まずは、スープから試すか。
………。
薄い塩味だな、出汁も効いていない。
焼肉のようなものは?
ハーブと塩で味付けしてあるが硬い肉だな。
パンは黒パンだな。
材料が基本的にダンジョンマネーで買えるもの、もしくは、購入した種や苗から育てたもののみのようだな。
これならうちのダンジョン産の食材の方がましだな。
マイヤーに命じて屋台の準備をさせておこう。




