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ネスside
巌鉄に資料を貰い、ダンジョンの執務室に戻ってきた。
さて、内容を確認しておくか。
見せてもらったゴーレムは、戦力と考えると今一使い物にはならないからな。
戦闘用と考えた場合、起動時間は短過ぎるし、チャージ時間は長すぎる。
ゴーレムの特徴は、パワーと防御力ではあるが、1日も動けないとなると、馬車等でわざわざ運搬して使う程の物でもない。
他のモンスターでも代用は可能だ。
まあ、ミスリルゴーレムには少し心を引かれたが、あれだけ貴重金属を使うのだからな。
資金面はよりも材料の確保が難しい。
まあ、参考にはなるな。
家での研究結果と足せばそれなりの使い道もあるだろう。
巌鉄は、ゴーレムその物でエリア外活動をさせるように研究していたようだが、こっちは外付けバッテリーのような物を考えていた。
利点を混ぜて研究を進めれば24時間の起動時間を得ることができるようになるだろう。
起動時間以外にも巌鉄の資料からわかったことがある。
それは、ゴーレムのサイズ限界だ。
俺も大体の予想は出来ていたが、正確な数字は持っていなかった。
ゴーレムのコアが成長するとサイズをあげることができるからだが、新規にゴーレムを作った場合の最大重量が150キロであることは知らなかった。
形状に関してはどんな形でも問題ないが、移動させるには自立出来る必要がある。
今まである程度の距離を移動でき、転移陣を内蔵した巨大ゴーレムを作ろうと色々実験させていたが、巌鉄のお陰である程度イメージが出来た。
試作していた4足歩行型のゴーレムを連結させその背中に転移陣等の必要な物を入れたボックスを運ばせればよいだろう。
ムカデの背中にボックスをのせたイメージが分かりやすいだろうか?
一体で運べない物であってもゴーレム数体でなら運べる。
搭載用ボックスはすでに出来ている。
排水機能を備えた物だ。
中には転移陣を設置してあるが、水中でこれを起動すると対になる転移陣がえらいことになるからな。
基本的に転移陣は対になっており、転移陣の上にあるものを入れ換えているといっても過言ではない。
水中で起動させた場合、そこにある水が転移してしまう。
只の水であれば、まだましであるが相手は深海の海水だ。
海水自体ある程度圧縮されているだろうし、塩分を多大に含んでいる。
そんなのを転移させると後始末がどれだけ面倒なことかは想像できるだろう。
転移陣で運び込むのは、魔鎖と空気ボンベだ。
魔鎖には、100メートル事にダンジョンコアの欠片を取り付けてあり、これを敷設する。
後は、ゴーレムの移動速度とチャージ時間だがこれは実際に作って見ないとわからないな。
巌鉄の作ったゴーレムは合金製だ。
海水に対する腐食がどのくらいあるかわからないな。
まあ、取り敢えず作って見るか。
耐久実験もかねて動かして見るか。
2年位は、稼働してくれるだろう。
その間に島を発見できればよい。
上陸できれば再整備も可能になるからな。
ある程度広ければ、展開型ダンジョンを作りたい。
気候にもよるが保養地として整備出来れば最高だな。
予定建造数は、取り敢えず3つだ。
大陸沿岸部の南側と北側、東側の大洋方面の3つだな。
大陸沿岸は、ギルマン達によって行われていたが、さすがに距離が延びすぎた為に交代させようと考えている。
大洋方面は、今まで手を出せなかったが、このゴーレムによって可能になるだろう。
いずれは、別大陸に届いて欲しいものだ。
いつになるやらわからないがな。
さて、後は、研究班に任せて戻るとしようか。
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