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ネスside
さて、政庁にやって来たんだが、中に入るとカウンターで仕切られ手前にベンチが並び、奥には事務スペースがある。
うん、イメージ通りの役所って雰囲気だな。
カウンターに座っているのは、今は一人か。
彼処で聞くとしようか。
「すまない、ちょっといいか?」
「はい、なんでしょう?」
受付に諏訪っているのは、狐人族の女性のようだな。
あれ?見たことがあるような?
「お客様、もしかしてネス様ではありませんか?」
「ああ、そうだよ。」
「長らくご無沙汰でした。あの時は、大変お世話になりました。」
お世話?ああ、最初に買った狐人族の一人か。
やっと思い出した。
人数がいたから、すぐには思い出せなかったな。
それにあの時は、痩せ干そっていたし、かなり薄汚れてもいたが今は、小綺麗なスーツを着て血色もよいから思い出せた方が奇跡的かもしれないな。
「元気そうで何より、所で代表はいるか?」
「ここの代表はウイリアムですが、今はインミーズの方に行っておりますので、代理権限は、私が有しております。」
「ほう、優秀なのだな。」
「そんなことはありません。此処の立ち上げから在籍しているから選ばれたのでしょう。」
それだけで代理権限は、与えられないと思うのだが。
元々狐人族は、知性の面で優秀な種族であるし、俺の直属の奴隷だからと言う面も捨てきれない。
裏切る可能性は極々低いからな。
「では、資料の閲覧を頼みたい。ここの状況を詳しく知りたいのでな。」
「わかりました、では、代表室をお使いください。それと………メアリーちょっと来てー。」
「はーい、ミレーネさん。何のようですか?」
小柄な狐人族の少女が小走りにやって来た。
この子は、記憶にないな。
まあ、子供の成長は早いから、覚えていないもの仕方ないだろう。
一応確認をとっておくか。
「この子は?」
「この子は、メアリーといいます。アーサガ様が最近買われた奴隷です。読み書きが出来るので、今は雑用をしながら仕事を覚えて貰っています。メアリー、ネス様にご挨拶を。」
「メアリーです。」ペコ
「よろしく、メアリー。」
「では、彼女を付けますのでご自由にお使いください。メアリー、ネス様の命に従いなさい。それとすべての書類は閲覧できるようにしておきますので。」
「ありがとう。」
さて、書類を確認するかな。
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大体、この町の人口は、800人程を前後しているようだな。
内、400人程が定住許可をとっているようだが、そのほとんどがモライミーズ家の関係者だ。
他には、わずかに冒険者ギルド職員がいる程度だな。
長期滞在者は、探索者、冒険者、一時滞在者としては、商人とその護衛となっている。
これは、割りと入れ替わりが激しい。
特に探索者、冒険者はダンジョンに潜ることを主にやって来るので当然戦闘を行う事になるのだが、全体の6割程が死傷していなくなっていく。
その分新たにやって来るので総数は少しずつ増えてはいるようだが。
また、ダンジョン探索に成功して一時的に離れるものも多い。
そう言った者は、大抵、娯楽を中心に作ったワンセンターの町にいくことになるのだが、1割位破産して奴隷としてここに戻って来ることになる。
この町には、酒場位しか娯楽がないからな。
遊びたかったら、ワンセンターにいくしかない。
普段娯楽に飢え、ダンジョンという厳しい環境にいたものがそんな町にいったらどうなるか。
破目をはずしすぎて破産して借金奴隷になるもの、暴れて犯罪奴隷になるものが多い。。
大抵は、近くで戦闘奴隷を欲している、冒険者雇う探索者に買われていくのだが、一番危険な任務を押し付けられるので死亡率が高い。
こういった奴隷化してしまうものの多くが中級辺りが特に多いようだ。
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