200
アルジェside
さて、武具屋に入った訳だが、ここは宝の山だろうか?
私は、シールダーと言う職業柄防具には目がない。
まず、目についたのは、一つの鎧だ。
マネキンに着せられ、棚の中央に飾られている。
左右の棚には鎧のパーツが別売になっているようだな。
痛んだパーツのみ入れ換えることが出来るのか。
ダンジョンと言う場所では、かなり有効な手段だな。
う~ん、今着ている鎧を買い換える時はこれをネス様にねだろうか。
他には、盾も結構種類が置いてあるな。
おお!!ライトシールドは!これは素晴らしい!
この軽さでこの強度材質はわからないが、取り回しが素晴らしい!
しかも、この値段だと!安すぎないか?
こっちの盾は!カイトシールドか、全身を隠す位大型なのに、武器を振るってもさほど邪魔にはならないだと?
バランスが良すぎる。
こっちのシールドつきアームソードもまるで盾をつけていないぐらい軽い!
一体どうやって作っているんだ?
sideout
ミリアside
全く、普段は冷静に振る舞う努力をしているのに、目をあんなに輝かせちゃって、オモチャを見た子供みたいになっているんじゃない。
最初にこの店に来たのが間違いだったかな?
アルジェは、職業柄武具にめがないのを忘れていたわ。
取り敢えず放って置いてこちらは仕事をしましょう。
「店長さん、この盾なのだけれどもどうしてこんなにかるいの?」
「ああ、ダンジョンからのドロップアイテムを特殊な加工を施したものだ、部材としては、ここの金属のインゴットについで二番目の目玉商品だからな。」
「へー、そのドロップアイテムって何?」
「知らん方が身のためだぞ。知ってしまうと持てなくなるものが割りと多いからな、それでも聞きたいか?」
何やら意味深な事を言うわね。しかも持てなくなるような危険な代物なのかしら?
ここは、覚悟を決めて聞かないといけないわね。
ネス様が市場調査もするようにって理由付けしてくれているんだから。
「大丈夫よ、材質を教えてくれるかしら?」
「そこまで言うのだったら教えてやるよ。加工法さえ漏らさなければ問題ないしな。この盾の主な材料は、スライムの皮と粘液、それに………。」
「それに?」
「ビックコックローチの外皮だ。」
「へー、ビックコックローチの外皮ね。………?ビックコックローチってあの?」
「そう、ビックコックローチの外皮。」
「あの、黒光りする?」
「そう、ビックコックローチの外皮。」
「………、いやーーーーーーー!!!!!!!!!」
なんつうもん使っとんじゃ!
おっと失礼しました。
思わず地が出てしまいました。
「そんなに嫌がらなくても。性能はバッチリなんですから。」
「そうだぞ!この強度でこの軽さ、しかも安い。」
アルジェ、貴女も一応女子なんだから、攻めて驚いてよ。
何で店側の立場なのよ!
「それに、ダンジョンに潜れば最初に大量に出てくるモンスターは、ビックコックローチなんだから外皮の加工品位でオタオタするな。」
う、確かにそうだけど、彼奴らの皮を身に纏うことを考えるとやっぱり、精神的に嫌なのよね。
「ここでは、通常の革鎧の方が高いですよ。運搬効率の影響とかで革の運搬順位が低いですから。ここでダンジョンに挑むつもりなら、諦めてこれを纏うか、修理不可能なくらい破損させないかの2卓になるでしょう。」
よし、絶対に攻撃を食らわない、絶対に。
って思っていてもアイテムを落とすモンスターとは、戦わないといけないのよね。
そのエリアだけ、おやすみするわけにはいかないかな?
sideout