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ネスside
「最後の《第八商会》はどうですか?」
「彼処はチョッと変わっていて中継地点に出向いて商売しているのよ。」
ほう、ダンジョン内で商売とは、面白い事を考えるな。
「今のところ第4層までだけどね。彼らのお陰で小規模クランもある程度まで潜る事が出来るようになったのだけれども。」
「なにか不都合でも?」
「ええ、さっきもいったように低階層でのドロップアイテムが飽和状態なのよ。彼らの支援でダンジョンに潜っていられる時間が増えたから。」
「ダンジョンを主とする商人ですか。しかし、それではダンジョン内でドロップアイテムの取り引きがされているのでは?」
「かなり、買い叩いてはいるようだけど、ドロップアイテムはきちんと家にだけ売っているから問題はないでしょう。」
買い取るだけなら問題ないかな。
冒険者ギルドに横流ししているかどうかわからないが、その辺はきちんと調べている様だ。
それに彼らの影響でダンジョンに籠る時間が延びているのか。
元々、個人で運べる量は限られている。
戦闘をすることを加味すれば、さほど多く運べるものではない。
武装した状態で考えれば、せいぜい10キロ前後、武装なしであれば30キロ位だろうか?
それだけの物資であればせいぜい無理をしても5日活動できればよい方だろう。
食糧もそうだが、荷物の大半は水になるだろうしな。
人間、最低1日2リットルの水が必要になる。
そう考えると1日辺り2層をクリアしたとしても5層辺りになる。
支援部隊を動員しても1部隊で2層、もう一部隊でもう1層位が限界だろうか?
そう考えると現状の8層はいい線をいっていると考えられるな。
10層位で転移アイテムを出せばよいだろう。
「それで、質問の答えは?」
「ああ、話がそれたわね。ようは、クラン単位でドロップアイテムを持ち込むようになったからギルドの利用回数が激減したのよ。
大抵は、クランリーダーが先頭に立ってダンジョンに潜っているから、クランリーダーがダンジョンから出たときにドロップアイテムを一度に大量に持ち込むから大変な事になるけど。」
そう言うことか。
ドロップアイテムはクランを維持する為の資金源だからな。
雇った者にも任せてしまうことはしないだろう。
「それじゃ、どこまでダンジョンを潜ったかわからないのでは?」
「それは大丈夫。特殊なカードを後で渡すのだけれども、一番深い階層のデーターと一番最近の深さのデーターが記録されるからランクには影響されないわ。出入りは入り口で管理しているしね。」
なるほど。
あれ?そんなアイテムを用意していたっけ?
う~ん、思い出せないな。
まあ、便利そうなので構わないが。
「ただし、紛失再発行の場合は金貨3枚必要になりますのでご注意ください。」
うわっ!!高ッ!!
アイテムボックスではなく空間魔法でしまっておくか。
「ああ、ダンジョン内のゲートに反応するようになっているからマジックバックなんかに入れて置いたら反応しないわよ。
まあ、持ってないとは思うけど。」
ゲッ、服の内側にポケットを作って入れておかないといけなさそうだ。
「じゃあ、所属先を決めたら発行手続きをするからカウンターに来てくださいね。」
「ああ、わかった。」
まあ、探索者ギルドに所属するつもりなんだがな。
いや、冒険者ギルドの方が外では有利なのだろうか?
モライミーズ領以外で探索者ギルドの効果はどの程度発揮するのだろう?
ま、いいか。
旅をするのになくても大丈夫だろう。
通行許可は、アーサガに言えばもらえるしな。
さて、登録を済ませて、町を見てみることにしようか。
武器屋やアイテムショップ等を見て回ろう。
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