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ネスside
「こんな所にいらっしゃいましたか、ネス様。」
天守に昇り、城下を眺めていた俺にマイヤーが声をかけてきた。
「城下を見ていたのだ。大分発展してきたようだな。」
「まだまだ、完成には程遠くございますが、配下一同よき都の完成を目指しております。」
「そうか。」
町並みは、当初の予定と違う形で進んでいる。
元々は、16に分けてモンスター達の住みやすい町を目指す予定であったが、現状は3エリアを統合した居住エリアが4つ、商、工、軍の総合エリアが4つに別れている。
種族単位ではなく、環境やサイズによって分けられている。
南側は、木を多く植えて森林(予定)のようにしたエリアだ。
まだ、植樹して間もないため数も少なく、大きな木もさほどない。
ここには、ドリアード等の精霊族やハニービーインセクティー等の昆虫系モンスター等の森林を好むモンスター、奴隷から解放したエルフ系や猿系獣人等が住んでる。
建物は少なく、特にエルフは樹上に家をたてるつもりだと言っているらしい。
そこまで木が大きくなるのに一体いつになるやらわからないが、寿命が長く、植物系魔法が使える者もいるので、通常よりも樹木の成長は早いのでなんとかなるのだろうが、気の長い話だ。
北側にあるのは、大きな池にいくつもの島が浮いているような水辺だ。
ここには、ギルマンやリザードマン、マーメイド等の水性モンスター用のエリアとなっている。
一応陸上生活も可能ではあるが、長時間地上にいるのは、やはり負担が大きい為にこのようなエリアを作った。
水性モンスターが行き来できるようにいくつもの橋がかかっている。
すべての橋を一度にだけ使い、すべて通ることが出来るか?という遊びをしているものもいるが、日に日に橋を増やしているので結論がでないようだ。
また、城壁に水門を設置してあり、城門の外の水堀や繋がっている河川にも出ることが可能になっている。
西側と東側は通常の町のようになっているが、西側は小型モンスター、東側は大型モンスター用となっている。
これは、配下に身長が1メートル程のレッサーコボルドから3メートルを越えるミノタウロスやサイクロプス等がいるためだ。
同じエリアに置いておいても対立構造と言うわけではないのだが、どうしてもインフラのことを考えれば分けた方が効率的である。
簡単に言えば幼稚園に大人が行けば、子供サイズの椅子や机が小さすぎ使いづらいのと同じことだな。
通常サイズの者は両方のエリアに住んでるので、両方のエリア共に北側からサイズを大きくなるような町作りになっているようだ。
商業エリアの食堂等は両者が同時に使える様に作られた店もあるようだ。
各地に転移陣がもうけられて降り、城壁の外にある各地の集落と結ばれている。
行きなり首都に転移出来る物で在るため各エリアに挟まれた軍事エリアに設置され厳重に管理されている。
唯一居住エリア内にあるのは、南のエリアであり、ここに住む水性モンスターが陸上移動が困難な者が多いのと、転移陣出口が海上の島にあるためだ。
もし、この島が占拠されたとしても、南エリアは水上都市のように橋で繋がれているためこれを落とせば封殺できるのも理由だろう。
中央の城の周囲には、各官庁がもうけられており政治を取り仕切っている。
大まかな指図のみでほぼ任せっきりになっているのだが。
トップは、最低限の指示のみの方が効率的だろう。
不正を管理する部署がきちんと機能していればの話ではあるが。
直接召喚したモンスターは、絶対的忠誠を持っているのでそこまで気にすることはないだろう。
今のところは、こちらも俺がいなくても大丈夫そうだ。
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