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ケージside
後は任せるといってネス様は転移して行った。
任せるといってもどこから手をつけようか?
まずは、ダンジョンから確認しておくかな?
「ダグラスだったっけ?一度ダンジョンに行って来るから、領地の資料を用意しておいてもらえるかな?」
「わかりました、用意しておきましょう。ジュリアンよいな。」
「ほぼ、書斎にございます。所でケージ様、いくつか進言したいことがございます。よろしいでしょうか?」
「?なんだ?言ってくれ。」
「では、一つは、言葉遣いを考えていただけないでしょうか?我々の中ではどういう言葉遣いでも構わないのですが、ケージ様の対外的なお立場は、旦那様の孫と言うことになっておりますれば。」
なるほど、それがあったな。
いくら、息子の隠し子といえ、今のような言葉遣いを本来であれば許されるものではない。
ネス様の支配下におかれたものであれば問題ないが、そうでないものも多数いるだろう。
変に疑われる理由を作る事はない。
「ありがとう、ジュリアンさん、気をつける事にします。こんな感じでよいかな?」
「それぐらいであればよろしいかと。
平民の子供が無理に敬語を使っている感じが出ております。」
そうだった。
地上での立場を考えなくてはいけないのか。
ネス様も領民すべてを支配下に納めていないようだし、商人や旅人、ダンジョン目当ての冒険者もやって来るのに孫がタメ口を利いていたらおかしいと思うだろう。
「他にもなにかあるか?」
「左様ですな。行儀作法等の貴族としての振る舞いを学ばれるべきかと思います。」
げ、めんどくさそうだ。
しかし、立場的にやっておく必要はあるな。
「本当は、学園に行ってもらうのがよいのですが。」
「学園?」
「ハイ、王立学園と言うのがございます。」
学園には興味があるな。
「何を教えているのだ?」
「様々でございますが、特徴的な物を言えば魔法でしょうか?
それに貴族の子弟が多く在籍しておりますれば。」
「コネを作りやすいか。」
「左様です。
政府や騎士団の高官を狙うのであれば、入学された方がよろしいでしょう。」
確かに、要職を考えればその方が効率がよいだろう。
しかし問題は。
「近いのか?」
「いえ、かなり遠いところでございます。
徒歩で移動しますと20日程かかるかと思われます。」
絶対に無理だろう。
ネス様は、自身のダンジョンエリア化速度は1センチ強と言っていた。
徒歩での移動なら、1日およそ30キロ位だろうか?
2~3日程度の移動で考えればもう少し行けるだろうが、荷物を持ち長期の旅と考えればその辺りが妥当だろう。
それを考えれば学園まで5~600キロ位は、あるだろうか?
魔縄というアイテムをもらっているが他の貴族の領地に敷設するのも難しい。
「学園は必ず卒業する必要はあるのか?」
「いえ、そう言った類いの物ではございますせんが、一段低く見られることに成ります。」
それぐらいなら、問題ないか?
「しかし、ご子息様は、学園を出ておられませんのでかなり冷遇されたようです。
その為に殿を命ぜられてしまいました。」
不利な面も多そうだ。
魔法等も独自でなんとかしないといけなさそうだし。
利点は多そうだが、どうするべきか?
「領地に籠れば問題ないと思っていたんだがそういうのもあるのか。」
「領主になれば、そう言った面はある程度押さえられるのですが、あくまで嫡男として戦場に赴かれましたので。」
当主と嫡男の違いか。
しばらく猶予があるのと俺自身の年齢の問題で戦場に出るのはダグラスになるが、対外的なことを考えればダグラスには、生きていてもらわないといけない。
騎士団の再生と強化が最優先課題かな?
戦場に出たときダグラスを連れ帰ってもらわないといけないからな。
おれ自身の戦闘力の強化もしたいところだ。
ダンジョンマスターとなった時自分のレベルが2って知ってしまったからな。
もう少しは強くならないと。
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