180
ネスside
「このままでは厳しいことは、言うまでもないので、準備しているものがある。
まず、一つ目だが、少し離れた山中にダンジョンを一つ用意している。
こいつは通常型ダンジョンだ。」
「通常型ダンジョンですか?俺のダンジョンがあるのにですか?」
ケージが、不可解な顔で聞いてきた。
「ケージのダンジョンは展開型とは違い、通常型は人を誘い込んで栄養にする生物のようなものだ。
展開型は地上をダンジョンエリアを広げる為のもの、目的が違う。
まあ、あくまで人寄せという目的に使うから、中継地点である子爵領に来る人間相手に商売するのが狙いだ。」
「なるほど、ダンジョン目的に来る冒険者等をターゲットにするわけですか。」
「そうだ、多少治安に問題が出る可能性はあるが、ある程度恒久的に町を発展させることが出来る。」
まあ、目的はそれだけではないけどな。
俺のダンジョンに使う土や金属の採取のために、ビックアント系モンスターを使い、山を一つ掘削している。
まあ、子爵領の逆側から掘っているのだが、その内子爵領側に出るだろう。
掘削している通路は、一応人が戦闘可能な広さがあるし、それなりの広場のような所もある、通路は出来るだけ複雑に掘らせる事によって疑似的なダンジョンになるように掘らせているし、光ゴケも繁殖させている。
当然ダンジョンコアの欠片や魔縄を使いダンジョンエリア化も進めている。
ある程度、形ができれば適当なモンスターを放して置けばよいだろう。
それとは別に、通常型ダンジョンも設置してある。
ダンジョン出口は盆地だからダンジョンのワンフロア扱いと勘違いしてもらえるかも知れんな。この疑似ダンジョン、合わせて一つのダンジョンだと思ってもらえばさらに良い。
だとすれば、このダンジョンからモンスターを調達した方が一体感ができるだろう。
盆地の各峠をふさいでおく必要があるがその辺はおいおい考えて行けばよいか。
「ダンジョンの入り口がこちらにできるまでしばらく時間がかかるからゆっくり準備しておけばよい。」
「ダンジョンができるならそこまでの道の整備、ダンジョンのそばに
簡易的宿泊所も必要ですね。う~ん、費用がかさみそうですが、リターンも大きそうです。原資はどうしょう。」
「もう1つあるから多少は楽になると思うぞ。」
「そちらも原資が必要になりますか?」
ケージは戸惑いながら聞いてきた。
投入する資金が少ないと先に言ってあるからな、これ以上投資先を増やしたくないのだろう。
「安心しろ、すでに設備は作らせている。後は、人員の手配さえできれば問題なく稼働できるものだ。」
「それを聞いて安心しました。どのようなものなのですか?」
「製塩だな。」
「製塩?塩を作るのですか?それは結構専門的なものなのでは?」
「簡易に出来る物を用意したから大丈夫だ。」
この世界で作られている製塩方法は、藻塩式か揚げ浜式製塩になる。
コストパホーマンスがかなり悪い。
そこで、用意したのが連立式プール型製塩方だ。
いくつかのプールを用意して順番に水を移していくだけのものだ。
プールに海水を入れ、天日で水分を飛ばす。
少し塩分濃度が高くなり量が減った所にまた海水を入るのを繰り返すだけだ。
これをいくつかのプールで行う。
全部同じように海水を入れて行うと時間がかかりすぎるので少しづつ隣に移していくことにより最後のプールでは底に塩が堆積するまで塩分濃度を濃くすることが出来る。
一度、ここまでできるようになれば後は繰り返しをすれば一定領の塩を作り続ける事ができるようになる。
この辺りは雨が少ないので可能になったものではあるが。
塩水の移動には足踏み式水車を用意したので塩水の移動は楽にできるだろう。
一応用意したプールは10なので20人位の人数で運用可能だろう。