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ネスside
思わず兵力の話をしてしまった。
まあ、後でわかることだから問題ないか。
「騎士団については後でダグラスに聞いて貰うとして、まずは、領地についてだ。場所については先程いった通りだ。当面攻め込まれる事はないから安心してくれ。」
ケージは、もう少し詳しく聞きたいようだが、今は簡単に済まさせて貰おう。
「この子爵領だが、ここの村と周囲の5つの村が領地となっている。ここが400人ちょい、他が50人~200人の間位の人数がいる。合計で1200人に届かない位だろうか?ダグラスどうだ?」
後ろを振り替えってダグラスに確認をとる。
「はい、ネス様、そのぐらいでございます。」
「正確な人数はわからないのですか?」
ケージが口を挟む。
「ケージ様、この前の戦闘で今だ帰還していない兵もおりますし、新たに奴隷を購入したもの、病気や事故により死亡したもの、新たに生まれたもの等がおりますので、およその人数でしか把握できておりません。年に2回各村から住人の報告が上がって来ますのでその時、正確な人数がわかります。」
「割りといい加減なものなのですね。」
「ケージ、前世と同じように思うな。これでもこの世界では精密な人工把握している方だぞ。」
コンピューターのようなものがあるわけでも無いんだぞ。
これでも十分な精度だと言えるのだ。
「すみません。ところでこの前の戦闘でどのくらいの死傷者が出たのですか?」
「騎士団からは、死者8名、負傷者13名、兵団からは死者25名、負傷者22名、行方不明27名です。」
「1200人の中から100人近い損害が出たのですか?」
ケージが損害の大きさに驚いている。
普通に考えれば成人男性の約半数が死傷した計算になるからな。
「いえ、兵団の半数程は、傭兵でしたので元々の住民からは騎士団と兵団合わせて50名程です。」
「それでも多いですよ!」
ダグラスの説明にケージは声を上げる。
「ケージ、説明の途中だ。まあ、それだけ損害が出たのは仕方ない、それが領地を持つものの義務だからな、嫡男を失う程の損害が出ているので5年程度は出陣命令が出ないのでその間に立て直せ。」
「資金源があればなんとかなると思いますけど、その辺りはどうなっているのですか?」
俺の発言に文句をいっても仕方がないと思ったのか、諦めたのか資金面の話を持ち出して来た。
「ダグラス、今までの経済状況はどうなっている?」
「ここは、私が爵位をもらった戦いで占領した所ですので、開拓途中ですので、資金面はかなり厳しいところがあります。帝国政府から褒賞金が出ましたが、借財の返済と死傷者の補償金に消えました。」
「何てこったい、仕方がないからテンプレでなんとかするしかないか。」
天井を見ながらボソッとケージがぼやいた。
「やめておいた方がいいぞ、他の転生者や転移者の財源潰しでかなりテンプレを流通させているからな、大抵のものに利権がすでについている。」
「ちなみにどんなものがあるのですか?」
「ん、石鹸とマヨネーズ、手押しポンプとかは早々に出したな。他にも色々だな。」
「もう、どーしろって言うんだ!」
ケージが言葉使いを忘れて声をあげる。
「やかましい、多少テコ入れは準備している。それでなんとかしろ!」
「やっていけるかな?ダンジョンもあるのに?」
「ダンジョンの方はおいおいで問題ないだろう。基本的には公開するものでもないし、エリア内に生物が居れば自動的にポイントを稼ぐシステムになっているからな。ちなみに獲得ポイント1/4は自動的にエリア拡張に使われるからエリア拡張することを考えなくてもよいぞ。」
さらにいえば1/4のポイントはこちらに徴収するのだがそれは言わなくてもよいだろう。
「ま、ダンジョンの方は最低限の守備力を持たせる位と考えて置いたらいい。発見されたら逃げ込むしかないと思って置けよ。」
「無理ゲーぽいよぉぉぉ!!!」