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ケージside
ネス様の近くに転移した。
普通にジャンプするような出来て当然のような感じだな。
今までそんなことができるなんて思ってもみなかったのだが。
転移した場所は小屋の様なところだ。
魔法の明かりがあるので視界には問題ないが、窓一つない場所だ。
回りを見渡すと出口らしい扉と反対側に大きな穴があるのがわかる。
この穴がダンジョンの入り口だろう。
ということは、この建物はダンジョンを隠す為の物なのだろう。
ネス様の側には、メイドールのマリオンの他にも何人なの姿がある。
「やっと来たか。ここでは、なんだ。場所を変えるぞ」
こちらからの返事を待たず、ネス様は小屋から出ていった。
仕方無いのでついていくしかない。
小屋を出ると小さいがそれなりに立派な庭に出た。
すぐそばに屋敷があり、ネス様は当然のように入って行った。
他の三人も後に続く。
俺は、遅れないようについていくしかない。
ネス様が屋敷の一室に入った。
そこは応接室のようだ。
それなりに良さそうなソファーに腰掛けたネス様の後ろに3人が並ぶ。
「座れ。」
「ハイ、失礼します。」
一言、向かいのソファーを指差し俺に座るように言った。
俺がソファーに腰を下ろすとネス様は話始めた。
「まずは、お前の祖父となる、ダグラス.アーチボルド子爵。」
長い髭を生やした老人が軽く会釈した。
歳のわりには確りと筋肉がついているな。
若い頃はそれなりの戦士だった風格がある。
「お前の立ち位置としては、こいつの隠し子と言うことになる。元々こいつの息子がいたが、今は戦死しているで後継者はお前ということになる。」
「え~と、その者の妻とか兄弟はいないのですか?」
「子爵の息子は、一人だけだったから兄弟はいない。子爵の妻もかなり前に亡くなっている。また、子爵自身は、新興貴族のため類系はいない。」
類系がいないのであれば、突然現れた隠し子がいても御家騒動等の問題ないと言うことだな。
「後に二人は家宰のジュリアンと騎士団長のマイケルだ。」
「家宰はわかるけど騎士団長?」
「帝国では、領地持ちは、騎士団を作ることが義務付けられている。どんなに小規模であろうとな。といっても子爵領の騎士団は現状7人しかいないがな。」
え、騎士団を名乗るには少なすぎませんか?
「先日出陣した際に殆どが死傷したのだ、子爵の息子もこの時戦死している。今、ここにいるのは、その時に留守要員として残ったものだけだ。」
「たった7人では、領地の防衛も出来ないのでは?」
「騎士は、指揮官だ。兵士とは別だから問題ない。と言いたいところだが、兵士もかなり消耗しているから立て直しは、かなりきついだろうな。」
「何か対策はあるのですか?」
「それは、お前が考えてくれ。」
丸投げかよ。
指揮していた騎士団が壊滅したと言うことは、その配下の兵士達もかなり失っていると言うことだろう。
再建は、厳しいことになりそうだ。
「ああ、そうだ。子爵領の部隊は殿を勤めたので当分部隊の派遣命令はでないだろう。
5~6年を目処に再建すれば問題ない。
その辺りは、ダグラスと共に考えて置いてくれ。」
「わかりました。」
ま、5~6年の猶予があればなんとかなるかな?
「次は、領地の説明を簡単にしておこうか。
この領地は帝国領の北西部にある。
山脈を挟み敵対国家に接しているが、そちらに抜けるには山脈を迂回する必要がある。」
「敵対国家ですか?」
「帝国は現在、西側に敵対している2つの国と中立国、東側に王国の計4つの国と国境を接している。
西側の国は、北側よりエルフの国、ドワーフの国、獣人の国だ。
この内エルフと獣人の国と戦争状態になっている。
ドワーフの国も敵よりの中立と言っても過言ではないな。」
戦争状態なのは王国にいたときに聞いていたから驚きはないけど、相手がエルフや獣人達だとは思わなかったな。