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ネスside
ソファーに向かい合わせに座り、話を始めよう。
「さて、まずは、どこから話そうか?そうだな、君に与えるダンジョンの位置からにしようか。場所は、リナト帝国だ。」
「王国国内ではないのですか?」
俺が、場所を伝えたらケージは驚いたようだ。
「ああ、帝国の東側にある子爵領だ。お前の今後の立場としては、子爵の隠し子と言うことになる。」
「ダンジョンマスターでは、ないのですか?」
怪訝そうな顔をしながら聞いてきた。
「いや、ダンジョンマスターだ。ただ、地上展開型ダンジョンだがな。」
「地上展開型?」
「地上の一部をダンジョンエリア化している物を言うんだが、色々通常のダンジョンと違って不利な点もあるがな。ポイントの安定性では一番だと思うぞ。」
「例えば?」
「例えば、ダンジョン内で人が死ぬと1,000ポイント入ると思ってくれ。滞在だけなら1ポイントとしよう。」
「それなら、普通にダンジョンを作った方が効率がいいのでは?」
「一度に入って来るポイントならばそうだが、5人が一月ダンジョンに滞在したとしたらどうだ?」
「え~と、30日×5で150ポイントだ。」
「では、1年ではどうだ?」
「1万………。なるほど、長期になればなるほどポイントが増えると言うわけですか。でも、日数がかかりすぎでは?他の者をつれてきた方がやはり効率がいいと思うのですが?」
「効率か、しかし、出費も大きいぞ、侵入者を倒すまでどのぐらいのモンスターが倒されるかわからないし、モンスターを維持するにもポイントが必要になって来る。
戦力を低下すれば、ダンジョンを攻略される可能性も上がる。」
「それでも、上手くやればなんとかなると思うのですが?」
「雑魚が大勢来れば、なんとかなるかもな、まあ、どのみち、お前には選択権はない。
俺が用意したダンジョンでうまくやるしかないぞ。」
「う、それはそうですが………。」
「それに、お前自身の為でもある。
地下ダンジョンだけでは、精神的にきついものがあるしな。」
意味がわからないって顔だな。
「元々ダンジョンマスターには、ある程度の耐性を与えられているが、お前には、その耐性がないだろう。」
「何の耐性ですか?」
「孤独感に対する耐性だよ。
この上手く会話可能な者やペット的なモンスターを引き当てられなかったら精神に異常を来すかもしれないからな。」
「確かにそれはあるかも知れませんね。」
「それと、地上で領主として動いてもらいたいと言うこともある。
その為の準備は、済ましてある。
先程も言ったが帝国の子爵の子になってもらう。
すでに子爵領の一部の住人はこちらの支配下にあるから安心してくれ。」
「どういう事です?」
「まあ、そのままの意味だ。」
すでにブレインイーターを使い支配下に置いているだけだが。
ちょうどよく後継者のいない貴族を見つけたからな。
かなり、領地が荒れてはいるのだが。
「しかし、ダンジョンマスターは、人属に敵対しているのでは?」
「人属がダンジョンマスターを殲滅対象にしているだけだ。」
もっとも、ダンジョンマスター側は、餌としてしか考えていないものが多いがな。
「ダンジョンマスターであれば人属はすぐわかりますが?」
「俺をダンジョンマスターだとわかるか?」
「そう言えば?ダンジョンマスター特有の気配を感じません。」
「それは、このアイテムのお陰だ。
こいつはダンジョンマスター特有の気配を消す効果を持っている。
これをお前に与えるから人属の中に紛れても問題なかろう。」
「それがあれば………。
デメリットはないのですか?」
「効果時間だな。
ダンジョンの外では最大3日と言うところだろう。」
「え、3日ですか?」
「ああ、ダンジョンエリア内であればその限りではないがな。
さらに言えば、エリア内では、使用時間の回復も望める。
1日分チャージするのに3日かかるが、遠出しなければ問題ないだろう。
改良も進めているからしばらく待ってくれ。」
コンコン「マリオンです。」
「入れ。ケージ、彼女をサポートにつける、マリオン頼んだぞ。」
「了解しました。」
「では、現地に向かうとしよう。」
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