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マイヤーside
全く、ネス様のお考えは、わかりませんね?
あんな子供にご尊顔を拝する機会を与えるなんて。
部屋から出したとたん異臭がしましたのでメイドール達に命じて洗わせましたら、どこか遠くを見つめるようになりましたが、綺麗にはなりましたし問題ありませんね。
さて、時間がありません。
ネス様をお待たせする訳にもいきませんので急ぐとしましょう。
………まだ、放心していますね。
仕方ないがありません。
メイドール達に運ばせますか。
しかし、服を剥ぎ取ってデッキブラシで洗った位で放心するとは軟弱です。
此のような者にネス様は一体何をさせる気でしょうか?
よく見ればこの子供は、それなりに顔は整っていますね?
まさか、稚児にするともりでは?
配下の女性はもちろん、ずっと一緒にいる私にすら手を出さないのは、そういう性癖なのでしょうか?
一声かければ寄って来る女性は山のようにいると言うのに!
私は、ネス様の言うことであれば喜んで致しますのに!
それはいけません、なんとか正しい道に私が戻さねば!
でも………それはそれで………どちらが太刀なのでしょう?………まさか?猫は………じゅるり………フフ腐。
sideout
ケージside
ゾクリとした者を前を歩くメイドから感じる。
背筋が寒くなるような気分だ。
気にしたら負けだ。
どのみちついていくしかないのだから。
転移陣のあった部屋から出るとそれまでいた洞窟のような所ではなく、綺麗な石で装飾されている。
美術館とかヨーロッパの城とか宮殿とかそんな感じだ。
右へ左へと複雑な迷路のような通路を進んで行く。
転移陣をくぐってからすれ違う者も変わった。
最初はスケルトンやパペットばかりだったのに今は、コボルド、ギルマン、ミノタウロス等の亜人型モンスター、リビングアーマー、スケルトン、バンパイア等の死霊系モンスター、ドリアード、ウンデーネ等の精霊系モンスター、ハニービーインセクティー、アントマン、アラクネ等の昆虫人系モンスター、ゴーレムやパペット等のクリエイトモンスターが忙しそうに働いている。
他にも種類分け出来ないものも多数いる。
一体ここはどこなのだろう?
そして俺はどこに連れていかれるのだろうか?
そんな事を考えながらメイドに着いて歩いていると一つの大きな扉の前に出た。
「開門!!」
メイドが声をあげると周囲を壁で囲われた中庭のような所に出た。
いや中庭というのはおかしいか。
直径一キロはある円形の広場だ。
中央にこの世界には似つかわしくない和風の天守がそびえたっていた。
その回りをグリフォンやワイバーン等の飛行系モンスターが飛んでいる。
周囲の壁にはたくさんの穴が空いている。
彼らの巣のようだな。
パペットやハニービーインセクティー達がその世話をしているようだ。
ライダーはいないのだろうか?
ここにいるのモンスターだけで王都壊滅まで持っていけるのではないだろうか。
だとしたら、男爵領を攻めているのにはどんな意味があるのだろうか?
ここの戦力を使えば1日あれば攻略できるはずなのに、2月近くかけても落とせない様な攻めをするのは?
俺たちと戦ったスケルトン等の戦力も積極的に使えばよいはずだ。
2~3ヶ所でも城壁を破れば男爵領は落ちるだろう。
城壁だよりの防衛戦だったしな。
内側にいる領民の殆どに戦闘力はない。
一度に崩されれば戦線の再構築は難しい、後は、時間の問題だろう。
それもあって脱出に参加したのだから。
もっともそれに失敗してここにいるのだが………。