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修羅side
ネス様に頂いた魔霧水はかなり効果的のようだな。
まだ、研究中で効果が安定しなく、霧化する量も少ないとのことだったが、今のところ順調の様だ。
しかし、問題も多いな。
まず、容器の問題だ。
性質上密閉式の容器でないと気化したものが漏れ出してしまう。
密閉率をあげるために金属容器を使用した方がよいだろうが、今回のように投擲をすることを考えれば、陶器等の割れるものの方が使い勝手はよい。
今回2割程割れていない物があるようだから検討課題だな。
場所の選定もかなり難しいな。
左右がブラッディローズの茨の壁の為思った以上に霧の拡散が早い。
ブラッディローズ自体、多少なりとも魔素の含んだら霧を出す性質を持っているのだが………。
予定していた霧の濃度を20%程下回っているようだ。
スケルトン達の行動は可能な量ではあるが、多少能力の低下しているようだな。
その代わり、混ぜてあった痺れ薬や麻痺薬等が多少なりとも効果を与えているようなので+-0になっている感じか。
敵のミスにも助けられた面もある。
魔法使いがいるようだが、ゴーレムを倒すのに力を使っているので他に回す魔力が無さそうだ。
風魔法で換気をされると不味かったのだが結果的に上手くいった。
おっと、いつまでも観察している場合ではないな、壁役のゴーレムが持たなそうだ。
そろそろ希望を絶望に変えてやるとしよう。
「投擲しているコボルド部隊にやや後退して弓の攻撃に変更させろ!ゴーレム第二陣展開開始!パペット隊戦闘準備!俺に続け!!」
さあ、最終局面だ。
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中隊長side
くそ!!
うっとおしい骨共め!!ワラワワ出てきやがって!!
連中はゴーレムを突破できたか?
殿を勤めるのは俺を入れて10人、1人でいいから行けといったんだがな、言うことを聞かずに残りやがった。
俺1人では支えきれないと思ったのかよ。
「隊長!!あれを!!」
俺と共に殿を勤めるバカ共の一人が後ろを振り向いて叫んだ。
ゴーレムが一体が倒れその隙間から白い煙があふれでる。
煙の奥にまた壁ゴーレムの一団が見えた。
そしてそのゴーレムの壁の前に見たことのないモンスターがいる。
スケルトンの上位種だろうか?頭部は骸骨のように見えるが黒い粘膜のような物で覆われ、腕が4本生えている。
身に纏う鎧等の防具や4本の腕が持つ、剣、楯、鎚、斧の武具は、かなりの業物であることが遠目にも見てとれる。
そのモンスターがウッドパペットらしき者を10体引き連れている。
ゴーレムを突破して一瞬得た希望ががらがらと崩れていく。
あのモンスターには勝てないと心の奥底から恐怖が沸き上がる。
恐怖の権化と思える存在がそこにいる。
「うわー!!!」
数人が恐怖にかられ、茨の中に突っ込んでなんとか逃げようとしているものがいるが、茨により傷つき血を流している。
茨が触手を伸ばしそのものを絡めとり傷口から血を啜る。
逃げ道のない事にその場でうずくまるもの、狂乱してモンスターに突っ込み一撃で切り裂かれるもの、後ろのスケルトンを突破して逃げ出そうとするもの、気を失うもの、それを俺は呆然と見ているしかなかった。
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修羅side
目論み通りなのだが、面白く無いな。
もう少し踏ん張れると思ったのだが、気力が足らない。
ゴーレムが突破される可能性が高いので、ゴーレムの第二陣と第一陣の間に狂乱剤を焚いてゴーレムが倒れると共にあちら側に風魔法で送り込んだのだが効きすぎたようだ。
極限状態からの脱力も伴って威力が倍増したようだ。
「動けない者は、生け捕りにせよ!」
こちらの被害はそう無さそうなのでパペットとスケルトン部隊に命じて、錯乱して暴れている者だけ始末することにするか。
本当につまらない結末だ。
正面からの戦いをしたいものだな。
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