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中隊長side
補給と治療を終え、壁の開口部に向かい部隊を進めていたのだが、壁の一部が他とは違うことに気がついた。
「隊長、あそこだけ変ですね?」
「ああ、城壁から見ていた時はなにか色が違うと思っていたが………。」
人が5人並んでも通れる幅の通路の両脇に緑の蔦が絡まった壁のようなものがある。
蔦は黒ずんだ紫で鋭い刃物のようなとげがあり、緑に見える葉を血のように赤い葉脈がある。
薔薇のように見えるが、色使いが禍々しい。
また、薔薇?の植わっている根本も赤黒い。
撒いた血が土に染み込んだような色をしている。
また、左右の壁には人が通れるような隙間があり、そこからモンスターが出てくる可能性もある。
それが500メートル程に渡り続いている。
警戒しながら通路の中心に到達した時出口付近に動くものがある。
「隊長、壁のような者が前方をふさいでいきます。」
見ればわかる、今から全速で走っても間に合わないな。
「隊長!!後方にも!!」
ちぃ!逃げ道無しか、左右にある、小道は絶対に罠だろう。
仕方ない、正面突破するしか方法がなさそうだ。
あの動く壁の正体はわからないがそれしか方法がない。
あの先にしか俺たちの未来はない、絶対に突破してやる。
sideout
修羅side
人属の部隊が薔薇の回廊を突破しようとしている。
予想より数が多少多いようだが、問題ないだろう。
「ゴーレム部隊を予定道理動かせ。」
このゴーレム達はやや特殊だ。
両手が巨大な楯状になっており、並ぶと巨大な壁となる。
機動力はほぼないに等しく、攻撃能力も持ってはいないが、とにかく防御力は高い。
通路を封鎖するには持ってこいのゴーレムといえるだろう。
後方も同じゴーレムで封鎖している。
これで袋の鼠も同様だな。
さて、殲滅戦に移るとしようか。
時間はさほどかけることは出来ないだろう。
無理にでもゴーレムを突破しようとするだろうしな、というかそれしか方法はないだろう。
前方か後方かはわからないが。
後は、部隊の損失を最低限にしなくてはな、ネス様のいつもの作戦を使わせてもらうとしようか。
今、使える戦力にも限りがあるが、作戦に向いたもの達もいるからな、個人的には正面から当たりたいものだが仕方がないか。
sideout
中隊長side
「正面の壁を破壊してここを脱出する!!魔法使い、重戦士は奥に集めろ!残りは突破できるまで戦線を支えるぞ!」
「「「「おう!!!」」」」
我ながら無茶な命令だな、ここを突破できても終わりではないのだが、切り札的存在の魔法使い達をここで使うのは。
<ヒュン ヒュン パリンパリン>
ン?何の音だ?
左右からなにかが飛んで来る、壺か瓶のようなもののようだ。
割れたところから白いもやのようなものが出てくる………。
「みんな、気をつけろ!その白いもやを吸い込むな、毒の可能が高い!!」
「隊長!!左右からスケルトンが!!」
何?こんな昼間にスケルトンだと?
一体どうなって………、この靄か!!
空は空いているとはいえ、無風のこの状態だ、次から次へと投げ込まれているのだ、靄が拡散せずどんどん濃くなっている。
これが、目的だったのか。
靄により日光の弱める事によってスケルトン達の行動が可能にすることが!!
「魔法部隊、重戦士部隊はそのままにゴーレムの突破を急げ!!他のものは、半円状に展開、スケルトンどもを寄せ付けるな!」
クソ、体の動きが鈍い。
わずかにしびれも感じる。
毒か痺れ薬も混ざっているのか。
靄を発生させるのと同時に毒まで入れるとはどんだけだよ。
「隊長!!ゴーレムの一部を倒しました!今のうちに脱出しましょう!」
「よくやった!!俺は、殿を勤める!他の者は空いたところから駆け抜けろ!トーマス!!指揮は任せた!」
「隊長!!」
「議論している余裕はない!早く行け!!」
「死ぬんじゃありませんよ隊長、先に行って待っています。」
「さあ、かかってこい骨共!!」
sideout