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ネスside
う~む?
コブリンが予想外の進化をとげてしまったな。
多少海に関する進化をとげるとは思っていたがゴブリンキャプテン?ゴブリンセイラー?には驚いた。
船もないのに船長や船乗りとは、どういう事なんだろう?
こんな進化は想定外だったからな、せいぜい泳ぐのがうまくなる位だと思っていたよ。
これからどういう感じで進化していくか興味が出てきた。
しまったな、多少支援をしてやりたいがすでにダンジョンの生成が終わってしまっている。
かなり遠方に作った為にダンジョンエリア比率が2%程しかない。
先に転移陣を設置しておけば問題なかったが、10%を越えないと後付け出来ない。
ダンジョンマスターの許可を得ることができれば転移陣を作れないこともないが、相手がこちらを認識していないため、それも出来ない。
せめて小型船か木材でも送ってやりたかったんだがな。
船のない船長や船員では意味がないか。
どのみち手が出せないのだからしばらく放って置くしかないか。
いや、何隻か漂着を装って送り込むぐらいは出来そうだな。
さて、次のダンジョンを作ろうと思うのだが、先に作ったダンジョンは拠点としては役に立たないからな、今度は、配下のモンスターをダンジョンマスターに添えることにしよう。
今回は、南北2つ作ろうか。
コブリンをもちいたダンジョンも南にあるが、かなり沖合いだからな、気にしなくてもよいだろう。
問題は、適当な島がないことか。
さすがに沿岸付近であれば漁民や沿岸航路の船が行き来している。
いっそ、アーサガの村で行った様に制圧してしまおうか。
その方が楽そうだな。
ちょうどいい漁村を調査させておくか。
ダンジョンを作る所は、帝国領になるわけだが、資料が確かにこの辺りにあったな。
ああ、これだな。
帝国は、300年ほど前に当時の将軍により帝位簒奪が行われた。
その時没落した貴族が山脈を越えて作った国が王国だ。
王国と帝国の間にある山脈の麓は当時未開発の樹海であり、また、帝国側がかなり切り立った崖のようになっているため登坂は不可能に近い状態なので山脈の反対側にいくことはできないと思われていたが、一部渓谷になっており、通行可能だった。
王国の初代国王は、若かりし頃冒険者をしており、このルートを発見していた。
そして渓谷を越えた先に広がった草原を開拓しても国を作ったが、人口の少なさが開拓のネックになったが、一部の人間を帝国に残し、亡命者の受け入れや奴隷を購入するなどして次第に国として、機能させることに成功した。
大国であれば政争は日常茶飯事であり、国を追われるものは常に一定数いる。
亡命した彼らからの資金を使い奴隷を購入していたようだ。
ほぼ密輸なのだが。
帝国の開拓団が渓谷を発見したのが150年の程まえの事だ。
山脈の麓の森の木は、かなり固く斬り倒すのが困難な物が多く鉄の森と呼ばれている。
王国の元になったもの達が通り抜けた時は、加工が出来ないので放置されていたようだが、付与魔法が発達したので加工が可能になり、開拓が再開されたようだ。
渓谷の発見とその先の王国の存在に気がついた帝国は、侵攻を開始したが、渓谷は、大軍の展開するだけの幅がなく、また、王国がその途中に雷の槌と名付けた砦の存在により敗北と和睦を繰り返し、70年ほど前に条約を交わしてからは戦闘が行われていない。
山脈で区切られていたためか、植生が大きく違い薬草等が多くとれ、また、帝国では産出されない鉱石が撮れる為、それを欲しての事だったが、損害の大きさに交易に切り替えた。
王国側も対価として、食糧や人種の奴隷、工芸品を等を輸入している。
初期の奴隷は、数年働かせた上で奴隷から解放している。
正規の国民として受け入れていた。
人口的に不利な状態であったから、奴隷よりも平民を増やしたかったようだが、近年になり、帝国から獣人の奴隷がやって来るようになって状況が一変したようではあるが。
条約を結んでも王国側は、それでも警戒を解かず、皇太子が砦の後方にある《エルファー》の領主をかねる事になっている。
これは、王国の統治にも有効であり、継承権の確定、統治の学習等の効果をあげている。