159
ネスside
ドンズール男爵領から見れば城壁が一夜にしてできたように見えるだろうな。
実情はかなり無茶をしているのだが。
壁はペラペラ、薄いので下手すれば、体当たり一発でぶち抜ける程度厚みしかないし、一部は木材なんかで支えていないと倒れそうな物もあるし、布を貼って誤魔化している所もある。
ほとんど張りぼてに近いものだ。
土魔法を使っていたもの達のうち援軍として来たものは、ポーション酔いや魔力酔いを起こして倒れている。
mp回復魔法やmpポーションの多用が原因だ。
【薬品は用法用量を確認の上正しくお使い下さい!】
そんな声が聞こえて来るようだ。
初期に予定したものは、ある程度余裕を持って作業させていたようなので今危険な所を中心に補修中だな。
さて、俺もドンズール男爵領の包囲の最後の仕上げとしてモンスターを召喚しておこうか。
先に下準備として周囲を囲うラインからさらに内側にラインを伸ばして召喚地点を作ってある。
全部で24箇所だ。
今回召喚するのは植物系モンスターだ。
植物系モンスターの一部は、自力で移動出来ないからな、置きたい場所に前もってこういった下準備が必要になって来る。
今回召喚するモンスターは、レッサートレントの上位変異種である、レッサードミネートトレントだ。
こいつは、通常のレッサートレントより戦闘力はかなり弱いが、根を他の通常植物に寄生させることによってトレント系モンスターに変異させ支配することが出来るようになる。
まあ、最初のうちは、出来て苗木位であり他の植物に負ける事がある弱いモンスターではあるが、一度に寄生できれば、養分を徴収出来るので化ける可能性は高い。
その分コストは高めだがな。
それに寄生された植物も同じ性質を持つので次から次に寄生を繰り返すことによって勢域範囲を広げるに向いている。
特に今回のように植樹をし、ある程度管理ができるのであればかなり有効に働いてくれる事だろう。
ハイドミネートエントクラスまで成長すれば、樹海一つを支配している事もあるぐらいだ!
何百年かかるかわからないがな。
余裕があれば、ダンジョンから来るモンスタードロップアイテムある魔石を回収して肥料がわりに撒いてもいいだろう。
魔石の魔力を吸えばその分成長は大分早くなるからな。
どのみち男爵領側では、すべてを回収できる訳でもないから十分な量を確保出来るだろう。
ある程度育てば別枠で放ったモンスターを補食する事も可能だろうし、ここはこれ以上手を貸す必要はないだろう。
魔樹系は、種を採取して増やすことはできなかったが、魔草系は可能だった。
今回は、採取ストックしてあった魔草の種を他の植物と一緒に土でこねて作った土団子を空中散布している。
魔素石の粉末も混ぜ混んでいる。
魔草は、多少魔素がないと育たないと言うこともあるからだが、普通ならば、この程度の量では、風に流されて発芽しないだろう。
しかし、周囲を壁で囲った状況下であれば拡散は防げるし、もし育たなくても、周囲に魔素を撒き散らす事になるので問題ない。
くぼみや穴に落ちれば発芽の可能性はあるし、ある程度育てば、今度は逆に魔素を放出してくれるようになる。
また、今しなくてもその内魔素が濃くなれば、そのうち発芽するだろう。
北と南はモンスターが通る分を開けて左右にブラッドローズを設置しておく。
特に北側は大量のモンスターが通るからな。
かなり大きく開けておく必要がある。
最終的には塞ぐつもりであるし、その時は、柵なり網なりを設置しておけば、それに添って成長してくれる。
今、しばらくは、ここから脱走しないようにしておく必要があるが、修羅に任せたので口出しするのもあれかな。
そろそろ男爵領の食糧も厳しくなっているだろうからな後どのくらい耐えれるだろうか?
第二王子が多少食糧を持って来てはいるが、部隊の一月分程だろう。
7,000弱の領民のことを考えれば1日分増えたに過ぎないが。
まあ、もう少し放置しておこう。
sideout