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第二王子部隊 中隊長side


第二王子ボヤージ様に従ってこのドンズール男爵領に5日前にやって来たのだが、街の雰囲気がおかしい。

何故、みんなこの地に留まるのだろうか?


毎日、下級とはいえ、1000を越えるモンスターが襲来する。

城壁を頼りに撃退はできているが、それでも死傷者が多少は出ているし、城壁にもダメージが蓄積されてゆく。

このままでは、遠からず、城内に侵入をゆるすことになるだろう。


ここまで攻め込まれているとはいえ、脱出の機会はいくらでもあったはずだ。


何故、とどまり続けるのだろうか?


ドンズール男爵や防衛に参加している兵士達はともかく、戦闘力がないもの達まで多く残っている。


確かに、他の町に行ったとしても難民暮らしにはなるだろうが、それでも一時的避難と考えれば問題ないはずなのだが?


いかんな、夜警を指揮しているのにこうも静かだと余計なことを考えてしまう。

外も少し明るくなってきたようだ。

まもなく夜が明ける。


「中隊長!ハア、大変です!」


歩哨に出ていた部下が駆け込んで来た。


「何があった?そんなに息を切らせて?」


「ハァ、ハァ、とにかく城壁の上に来てください。説明するよりも見た方が早いので!」


よくわからないが部下にせかされて詰所から近くの城壁を登った。

何?


「おい、いつの間にあんなものができたんだ?昨日まではなかったよな?夢でも見ているのか?」


「中隊長、夢ではありません、昨日の日暮れまではあのような物はありませんでした!」


今立っている城壁から4キロ程離れた所に高さ1,5メートル程の新たな壁が出来ている。

一体いつの間に?


「おい、反対側はどうなっている?」


見える範囲の壁には切れ目がない。

普通であればこんな短時間に作れるはずがないのだ。


「確認させましたが四方共に壁が築かれております。ただ、南北のモンスターが通る分のみ壁が切れているとの事です。」


南北が開いているだと?

と言うことは、この壁は外敵辛く身を守るものではなく、俺たちを閉じ込める為のものなのか?

俺たちは、一体なにと戦っているのだ?


sideout




ネスside


夜が明けるのに合わせて4つの拠点の内にやってきた。

待ち構えていた修羅にねぎらいの言葉をかける。


「よくやった、修羅。」


「ネス様ノオ陰デゴザイマス。マタ、無理ヲカサネテがんばッテクレタ魔法ツカイ達二感謝シテオリマス。」


「お前がもう一度訪ねてきたときには驚いたがな。」


「許可イタダケルトハオモッテイマセンデシタガ、打テル手ヲ打ッテオキタカッタノデ。」


あれは、3日前のことだった。

命令を出した時には、一夜で作るつもりはなかった。

そして、修羅も一度その予定で作戦書をまとめて提出してきたのだが、暫くして作戦の変更を求めてきた。


上位スケルトンや土魔法やmp回復魔法の使い手の増員を求めてきた。


「上位種は出すつもりはないのは知っているだろう?」


「一晩ノミデ結構デゴザイマス、何卒許可ヲ頂キタク思イマス。」


「何故だ?そこまで急ぐ必要もないであろう?王都の状況から見ても後一月は軍を出せる状態でもないぞ?」


「一晩ニテ完成サセレバ相手ニ多イニぷれっしゃーヲカケル事ガデキマス、特二援軍ヲ得テ上ガッタ士気ヲオトス必要ガアリマス。」


なるほど、士気について考えていなかったな。

確かに男爵領の士気は上がっているだろう。


さらに言えば、援軍で来た者達の士気は状況を知って下がり始めていることだろう。


第二王子を連れて脱出を計る可能性もなきにしもあらずといったところだろう。


全体の士気を下げ、脱出の可能性を潰すのには多少無理しても一夜で作った方がよいだろう。


「わかった、許可を出す。スケルトンメイジも動員して構わない、その代わり一夜で必ず作り上げよ!」


「御意」



sideout

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