154
ネスside
「次は、リードに尋ねたい。」
「はい、何なりと。」
そう言ってリードは、頭を下げた。
ドライアード種の特性だろうか、そのしぐさには妖艶さがにじみ出ている。
「草原にある都市を魔素を含んだら霧で覆う事は可能だろうか?」
「それは、内部からでしょうか?ネス様?」
「いや、都市の外側からだ。」
リードは暫し考えてから答えた。
「不可能ではありませんが難しいと思われます。」
「理由は?山脈の西側の霧については問題が出ていないが?」
「条件が違いすぎます。あの場所は、山脈の麓で元々森があった所です。それなりに風避けが存在していました。魔素を含んだら霧は、通常の霧に比べて散りにくくはありますが、さすがに遮蔽物のない所では、風に飛ばされてしまいます。」
やはり、普通の手段では難しいか。
しかし、森を数日で作る訳にもいかんからな。
「では、小さな林のような物を作り、その中でスケルトンが動ける位の魔素を含んだら霧を漂わせることは出来るか?」
「そうですね、強い風が吹き続けないと言う条件つきであれば可能です。」
「では半径5キロ程の城壁を築いた場合は多少効果はあるだろうか?」
「う~ん、内部にある魔樹の本数次第ですね、かなりの本数が必要になります。それでも多少は活動可能時間がふえると思われます。」
フム、要するに空間に対する濃度の問題か。
ある程度密集して植えた方が拡散率が少なくなるだろうし、周辺に及ぼす影響も強くなる。
城壁を築けばその外に漏れる量を減らせると言うことだ。
「成長の早い魔樹は?」
「成長の早いのはブラッドローズでしょうか?その分餌さとなる物が必要になりますが。」
「薔薇の魔樹か、道を塞ぐのにも使えそうだな。餌は何がいいんだ?」
「血ですね。ブラッドローズはその名の通り血をすすり成長します。」
「血なら何でもよいのか?」
「そうですね、出来るだけ高位のモンスターの物が理想ではありますが、動物でもモンスターでも虫の体液でも問題ありません。」
血か、それなら食肉解体場からある程度出てくるからそれを利用すればよいな。
ああ、そうだ!
薔薇化の植物なのだから誘導柵も作って設置する必要もあるな。
両方とも生産部隊のクリフに言って置けば用意しておいてくれるだろう。
パペット部隊、ゴーレム部隊を動員できればいいのだが、ライン形成を優先したからな、魔素石の間隔が大分広いので行動させる事が出来ない。
いや、そうとも言い切れないか。
重点的に魔素石でダンジョンエリア化すれば活動は可能だ。
範囲は狭いだろうが拠点を作り転移陣を設置すればよいな。
物資搬入に一時的に使うだけだからプレハブのようなものでよいだろう。
「魔樹の種とかはないのか?」
「魔樹の種はないですね、種子を作るまで成長したものがまだないのかも知れませんが、魔草の種ならありますよ。」
「空中から散布しても育つか?」
「そうですね、一部の魔草は大丈夫なものもあります。」
「後、挿し木で増える物はないか?」
「実験で成功したものが数種類あります。」
「では、資料と挿し木を用意して置いてくれ。」
「わかりました。」
これで広範囲に魔草を、拠点周辺には挿し木を設置できるな。
都市の南側の街道はエリア化済みだから左右にラインを伸ばしてブラットローズを植えることにしようか。
ダンジョンから来ているモンスター達は召喚陣を破棄するしかないかな。
召喚陣で召喚されたSタイプモンスター達は、召喚陣を置いた時点に設定された命令を愚直に守る。
それは、使いようによっては有効なものになるが今回は邪魔でしかない。
設置したかったのにブラッドローズを踏み潰して進む可能性が高いからな。
残存分は、シバに部隊を出して始末してもらうか。
南方からの圧力が減るがその分他でカバーしないといけないかな?