151、食糧不足
王国国王side
先日の第三倉庫群の火災の後始末の書類が山のようにあるな。
騎士団も後始末や火災原因究明に動いているが、一向に手がかりが掴めていないようだ。
倉庫群の火災が他に燃え移らなかったのは、よかったのだが、問題は、倉庫郡に納められていた物資がほぼ燃えてしまった事だな。
倉庫群にはそれぞれ収容している物資に特徴がある。
第一倉庫群は、王都建設時に作られたもっとも古い物であるので、都市の拡張に取り残される形で中央部に存続している。
高級住宅外に近く、主に貴族や高級店が利用しているので、収容されているのは、高級カグや馬車、骨董品等場所を取るようなものが中心だ。
第二倉庫群は、第三倉庫群の反対側の工業区にあり、主に鍛冶用の鉱石や建築資材等に使う木材等の保管用に使われているため。
そして、第三倉庫群は、主に食糧や衣料品等を収容している。
現在、南方諸都市がモンスターの襲撃で食糧生産量が激減しており、食糧が不足気味だったのだが、その食糧を保管していた第三倉群が焼失した。
騎士団や王城にある物資を放出して、時間を稼ぐ間になんとか食糧を集めねば暴動が起こる。
北部や西部から集めるとしても不足分を確保できるだろうか?
皆を集めて対策を練らねばな。
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ネスside
予定通りに上手く火災を起こすことが出来たようだな。
あの第二王子に渡した金品以上の物資も確保することが出来たしな。
ただ、思った以上に火災の範囲が広かったのが問題だな。
男爵領を救援にいくことが出来ないようにするのが目的の一つだったのだが、王都が食糧危機なる程の損害は予定していなかった。
アーサガに命じて救援物資を送らせよう。
王都の住人に、辺境に追いやられても、自分達を助けてくれる存在と認識してもらおう。
アーサガが何故辺境にいくことになったかという裏事情の噂を流しておくか。
幸い物資はかなり余裕があるからな。
今回の頂き物なので腹は痛まないし、それで恩を売れれば十分利益と考えられるだろう。
あ、そうだ。
第二王子に物資の一部を横流ししてやろう。
どういった反応をしめすだろうか?
庶民にわけあたえる?
男爵領の救援に向かう?
どちらにせよ、後で面白く成りそうだ。
どうゆう結果が出るかを楽しみにしていよう。
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王国役人side
「おい、そっちはどうだった?」
「ダメですね、先の火災の後、市民が買い漁った用で在庫がないそうです。」
この辺りの店はほぼ全滅か。
「この様子だと、他の地区の連中もダメだろうな。」
「そうですね、売り渋りをしない良心的な店はほぼ在庫を持っていないでしょう。」
上からの命令で、王都中の食糧の在庫を確認しているのだが、ほとんど市場には残っていないようだ。
売り渋りして値を上げようとした連中もいるが、それは、騎士団や衛兵隊が強制買い取りに向かっている。
まあ、簡単に言えば、武力で脅して定価で売らせているのだが。
そこまでしないと、餓死者が出そうな位王都の食糧不足は深刻になりつつある。
「しかし、これだけしか集まらなかったか。」
「ええ、穀物商は当座分を店に置いて残りは倉庫に保管する事が多いですから。」
「それが焼けちまったからな。魅せにおいていた分以外は。」
「それもほとんど品切れ状態でした。」
「俺たちが集めた分でどのぐらいもつと思うか?」
「せいぜい、配給制にして2日といった所でしょうか?」
「他の所と合わせて一月もつかもたないかだな。」
「しかも、南方の緒都市から食糧が入ってこないどころか、救援依頼を出しそうな所も出てくる可能性があると聞きました。」
「救援依頼が出るとなると、困った事になりそうだ。救いにいかないわけにはいかないからな。」
「これからどうなるんでしょう。」
「俺にわかるわけないだろう!!」
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