147、書籍の売買
クラップside
ネス様より、第二王子派の動きを見ている様に言われていましたが、向こうから接触してくるとは思いませんだな。
正確に言えば、ジュシャク家のご令嬢からの呼び出しですが、何やら買ってほしい物があるようです。
私の前にも何人か呼び出されていたようですが、金額が合わなかったようですね。
「わざわざ、ご足労をおかけいたしました。私は、ジュシャク商会のジェリーと申します。」
「コーマです。」
ジュシャク商会なのでひょっとしてこの二人では、と思っていたのですが、やはりですか。
しかし、このような売却を考えるのでは、ジュシャク商会としてではなく個人的な物でしょうな。
そこを理解しているこの街の商人は、足下を見られたのでしょうな。
それで、その辺りを知らないであろう、この街に支店を構えて間もない私を呼んだと言うところでしょうか。
「クラップ商会の会頭をしておりますクラップと申します、ジュシャク家のお嬢様ですな。以後、お見知りおきください。」
「こちらこそよろしくお願いいたします。」
改めて名乗りましたが、うちが、モライミーズ家の御用商人であることを知らないのでしょうか?
知らないなら知らないで構いませんが。
気づかれる前にさっさと交渉を終わらせてしまいましょう。
「ところで、買い取ってほしいものがあるそうですが?」
「ええ、実は書籍を大量に手に入れたのですが、買い取っていただきたいのですが。」
「フム、書籍ですか?拝見させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「書籍は隣の部屋に置いてございますのでご確認願います。」
「では、確認させていただきます。しばし、時間をいただきます。」
「わかりました、どのぐらい時間がかかりますか?全部で100冊余りあるのですが?」
「100冊ですか、30冊辺り1時間程ですので、4時間程頂きたい。」
「わかりました、では4時間後に。」
そう言って2人は部屋を出ていった。
さて、確認作業に入りますか。
何人かつれてくればよかったですね。
パッと見た範囲では、傷みの酷い物は無さそうですね。
表装もしっかりとしているので、内容に関わらず1冊辺り金貨2枚として、112冊ありますので224枚が最低価格としましょう。
後は、内容次第で上積みしていくことにしましょうか。
まずは、物語集がシリーズで12冊のものと、8冊のもの、10冊の物があります。
一冊単位であれば、上積みはないのですが、それぞれ全巻揃いなので各3枚づつプラスしておきましょう。
植物図鑑が全5冊、モンスター図鑑全6冊、これは、挿し絵や説明が素晴らしいですね。
こちらは、全部一括としてプラス20枚としておきましょう。
伝記関係は、結構ありますが表装が色々ですし、プラス加算はなくていいでしょう。
この辺りが22冊ありますね。
国内の地理に関した物は無さそうですね?
開拓史のような物や国内の歴史書位あると思ったのですが、その辺りは下手すれば軍事機密に当たるところもありそうなのでさすがに売りに出ませんか。
他国の歴史書や地理、風土記等は、全部で22冊ですか。
精密な物ではありませんが、他国の情報は貴重です、プラス10枚としておきましょう。
魔法関係の初歩等の教本が12冊ありますね。
市販されているものよりも詳しそうです。全部でプラス5枚としておきましょう。
それに中級の物もありますね。
5冊でプラス15枚としておきましょう。
今日の献立全集全20巻ですか?
何故、こんな物が混じっているのでしょう?
え~と?作者は?
チェリー.B.マルコー??
おや?どこかで聞いたことがある名前ですね。
あ!思い出しました!100年程前にいた高名な錬金術師の名前ですね。
そう言えば聞いたことがありますな。
錬金術師は、自身の研究成果を残すとき暗号化する事があると。
それに、彼女が、晩年この国で過ごしたと言う話も聞いた事があります。
となれば、その研究資料の可能性がありますな。
売りに出した事でその事にはジュシャク家の2人は気付いていないでしょう。
確実に欲しいものですが、下手に値をつけると勘ぐられてしまいますので、プラス査定は全巻揃いと言うことで2枚と言っておきましょう。
残りは4冊、この国の国教の聖典の上下巻2組ですか?
おや?同じ表装なのに片方は誤字が多いですね?
これも暗号でしょうか?
作者もわかりませんが後で解読してみましょう。
全部で基本224枚にプラス31枚で260枚これで納得してくれるでしょうか?
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