128、襲い来るGの群れ 12
ヒットリー騎士爵side
魔方陣の無力化する方法を知るものがいないかと使者を出しておいて、こちらも調査を進めておこう。
騎士団にもこの手の情報はないだろう。
他の冒険者部隊にいる魔法使いが知っている可能性も低いか。
召喚陣の起動予測時間は0時、少なくとも10時位には部隊をまとめて迎撃準備をする必要がある。
今が4時過ぎだから、後5時間ちょっとだな。
取り敢えず、この空間と魔方陣の数の確認を急ごう。
しばらく探索を続けていると一番奥を調べに行った班が帰って来た。
「騎士爵様、奥に扉がありました、しかし、開ける事が出来ませんでした、いかがなさいます?」
ダンジョンには、いくつかタイプがある。
転移陣を使った階層移動型、広い空間が連続して繋がっている空間型、そして一番オーソドックスな階層型だ。
階層型の特色として、次の階層にいくための通路の途中に必ずボス部屋と呼ばれる部屋がある。
大抵は、階層にいたモンスターよりレベルやランクが高いものが配置されていることが多い。
まあ、ボスモンスターを倒せないのならば次の階層に行っても死ぬだけらしいから一種の振り分け機能とも言えるのだが。
たまにはボスが不在の場合もある。
また、扉にリドルがついたものある。
こういったものは冒険者に嫌われている。
元々、冒険者は、学力が低いものが多い。
農村から一攫千金を目指してやって来たものやスラム出身者が大半を占めているのだから当たり前なんだが。
まあ、私自身学がある方ではないがな。
今回、扉が開かないと言うことはリドルタイプか。
あまり時間をかけていられないと言うのに厄介なことだ。
一度出直すことも視野に入れておかねば。
さて、問題の扉の前に来たのだが、そう大きなものではないな。
6人程遠ければ並んで通れる位の両開きの扉だ。
只、手形が無数に押してあるのが不気味だが。
扉の左右には女性像が置かれている。
どちらの像も片腕がなく反対側の手が無数に生えた姿をしている。。
生えているいる腕は右側が右手、左側が左手だな。
ひょっとしてこれがヒントだろうか?
ん?
左側の扉の手形はほとんど左手だな。
と、言うことは?
やはりそうか、右側の扉はほとんど右手の手形だ。
なるほど、わかった!!そういうことか!!
左側の扉に3つだけ右手の手形が、右側の扉には2つだけ左手の手形ある。
像が手形を押していると考えれば足らない分を補ってやればよい!
幸い人手は十分にあるからこれでいけるだろう。
………、あれ?開かない?
違ったのか?
結構、ドヤ顔で命じてしまったんだが恥ずかしい。
「騎士爵様、よろしいでしょうか?」
冒険者の一人が落ち込んでいる私に話しかけてきた。
「何か、気がついたか?」
「はい、右側の像の右手が扉の手形より3本足りません。左側も同様で2本不足しています。」
「そうか、試してみよう。」
なるほど、その通りだ。
像は片方しか手がないから気がつかなかったが、人には両手がある。
これで開かなかったらどこかに手が隠されていることも考えられるか。
「騎士爵様!動きます!」
像の不足分を補うことが正解だったようだ。
「そのまま押し開いてくれ。」
「わかりました。」
「手空きのものは戦闘準備、この奥にボスのいる可能性がある!気を引き閉めろ!」
「「「「「おう!!!」」」」」
勢い込んで突入したのはよいが、そこは直径30メートル位の円形の部屋だった。
反対側に扉があり、中央に宝箱が1つあるだけで、モンスターの姿はどこにもない。
ボスモンスターはいないのか?
取り敢えず宝箱を調べておくか。
スカウトのスキルを持つ冒険者に目で合図を送った。
スカウトは、1つこくりと頷いて宝箱に近づいて行った。
「異常ありません、ただの宝箱です。罠もありません。」
「わかった、開けてみよう。」
ピー、ピー
宝箱を空けた途端に何やら警告音らしきものが鳴り響いた。
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