121、襲い来るGの群れ 5
救援部隊隊長、ダーリside
私は、ソバージュ子爵の命によりヒットリー騎士爵領の村に向かうこととなった。
ソバージュ領の兵40名と冒険者40名の指揮を任されたわけだが、敵がビックコックローチとの事なので冒険者は下級の者ばかりなのが心配だな。
ソロソロ、村が見えてきたな。
打ち壊した家、家具や土嚢等でバリケードのようなものを作っているようだな。
取り敢えず中にいれてもらわないといけない。
入り口にいる二人の歩哨の内年嵩の者が何者かと訪ねてきた。
「私はソバージュ子爵より援軍を命ぜられたダーリだ。責任者に会いたいのだが、呼んでもらいたい。」
「しばしお待ちください。おい、騎士爵様に報告してこい。」
「了解しました。」
「では、中にお入りください。敵がやって来るのは夜明けですのでそれまでは余裕があります。」
「お待たせしたした、ソバージュ子爵より援軍と聞いたのだが、よく来てくれた。」
「いえ、感謝の御言葉ありがとうございます。早速で申し訳ないが兵達を休ませたいのですが。」
「すまないが今日のところは、いくつか家を空けるので使ってくれ。それと指揮官屋敷に来てくれ。そこで情報交換をしよう。」
「わかりました。」
騎士爵の疲れた表情に嫌な予感を感じる。
思った以上にひどい状況ではないのか?
sideout
ヒットリー騎士爵side
「ダーリ隊長よく救援に来てくれた。」
ソバージュ子爵からの援軍として80の兵が送られてきた。
これでなんとかしのげるな。
「いえ、主君の命によりますので感謝は、ソバージュ子爵様に。ところで思った以上に厳重な防衛体制をとられていますが、そこまでの敵なのですか?」
「敵自体は今のところ、ギリギリではあったがなんとか撃退できるレベルでしかない、問題は数を減らしても同数以上で戻ってくるところだ。」
「どのくらいですか?」
「今までは、3割位まで減ると撤退するのだが、翌日になると500位数を増やしてまたやって来る。予測ではあるが、ダンジョンが溢れている可能性は否定できない。」
「ダンジョンの調査はされたのですか?」
「半日位離れたところまで追いかけてさせてみたのだが、そこで増援と合流したのでひきかえしてきた。そこより先は不明だ。」
「ここにいる全軍であればダンジョンのあるところまで進めるのでは?」
「村人を放置してかね?進軍した我々を迂回して村を攻める可能性があるのにだよ。それに私の配下の者も、申し訳ないがほぼ戦力にならないと思って欲しい。」
この連戦で兵も村人の限界に近い。
「戦力と考えられないほど疲弊しているのですか?」
「君たちには悪いが怪我人や村人達は今の内に逃がしたいと思っている、怪我をしていない兵は残すつもりだが、私を入れて10いるかいないかというところだろう。」
女子供、老人に満足な護衛をつけてやれないのは心残りだが、仕方がない。村の男衆と怪我をした兵しかつけてやれない。
一団の指揮は妻に任せているし、騎士爵家は息子が継いでくれるだろう。それに妻には、冒険者にダンジョンの攻略を頼む様に命じている。
「ということは、ここを防衛するのが最善であるとお考えですか?」
「そうだ、避難させるの中に私の妻もいるのだが、冒険者ギルドに依頼を出すように言ってあるので冒険者達がダンジョンの攻略してくれるか、王国が兵を出してくれるまでここを持ちこたえなけねばならないと考えている。ダーリ隊長はどう思う?」
「私もそれが最善であると思います。ここを突破されると次は、ソバージュ子爵領です、町を守るのが我々の仕事ですので。」
「それは助かる、では、避難する者を送り出す、手伝いを頼めるか?」
「ええ、お手伝いさせていただきますよ。」