7話 満月
[黄金の治癒を獲得しました]
「おーい、生きてる?」
女の人の声がしたような気がした
うぅっっなんか身体が重い
あれ、なにがあったんだけ?
黄金樹の守護者と戦って、みんなが死んで、大量のビームが飛んできた
そこから記憶がない
死んだ…?
そして恐れながらも、目を開けた
すると、丸太を積み重ね作られた木造の家の中で、ベッドに入っていた
ログハウス?
その中央には、スツールに黒くでっかい鎧を着た人が背を向け座っていた
俺は、重い身体を起こして、ベッドから降り
鎧の人の肩を叩いた
「あのぅ」
声をかけると、鎧の人がスツールを回転させこっちに向いてきた
視線に映ったのは、右手に刀を持ち左手には四角のレンガらしきものを持っていて
牙が特徴的な、鬼の兜を被っていた
あっこれ、俺の処刑準備?
「あっっーー!」
「ちょっ」
俺は、逃げ出した
地獄に転生くそくらえ!
ちょっと、走ると家の玄関らしきところについて
ドアノブを握り、力強く握り押し込んだ
開かない!
後ろから鬼が近づいてくる
また俺は必死に神頼みしながら、ドアを押し込んだ
そして扉の淵の部分が光り輝き
扉が近づいてきて、扉に頭を強打した
そして視界が、歪んで力が思うように入らなくなる
「ラウズヒール」
ちょっとずつ、意識が戻り力の感覚が戻ってくる
ドアの前には
白衣を身につけた、看護師風の女の人がいた
年は25歳ぐらいだろうか、謎の抱擁を感じた
「大丈夫?」
「大丈夫じゃないです!後ろに鬼が近づいてきてるので逃げましょう」
俺が逃げようとすると
女の人に手を掴まれ、逃げれなくなった
こいつ、力強い
この女もグルだったのか?
「鬼って、みやりのこと?」
みやり?
すると、後ろの方から鎧のガシャガシャっと音が聞こえ
「なんで目覚めた瞬間、走って逃げるの?」
後ろから、目覚める前に聞いたような気がする、声が聞こえた
後ろを振り返ると、鬼がいた
「ギャァぁー出たーー」
閑話休題
「お茶です」
「いろいろと気を取り乱してすいません」
あの後なにがあったかというと...
俺が鬼だと思ってた人は、鬼の兜をかぶってた女の人だった。
俺がビビりまくってる中、普通に兜を外して出てきたのは、女の人
情けない
そして今、一番気になることを聞いた...
「どうやって、あの状況から俺のことを助けたの?」
なんで守護者に顔面打たれて今ここにいるのか?
あと、パーティーメンバーの行方が知りたい
それに、鎧の女の人が答えた
「テレポートよテレポート」
テレポート?そんなものは、この世に存在しないはずだが?
憧れてはいたが、小説や漫画でしか見ない
「テレポート?なにそれ」
俺が、鎧の人に聞き返すと
「知らない、あと仲間は無事だからじゃあね」
そして鎧の人は、窓を開けて窓から飛び出して消えた
「ちょっっ!」
まだ聞きたいことがあったのに消えてしまった。
「あの子めんどくさいでしょ」
そして、看護師みたいな人がそんなことを言ってくる
なんか、不明なことが多い、とりあえずパーティーも無事らしいから、迷惑かかるだけだし帰るとするか
「そろそろ帰ります、いろいろありがとうございました」
今は、なにも持ってないから、今度お礼の品を持って行こう
看護師風の女の人は、首を傾げて笑みを浮かべ、手を振る
「お元気で」
ドアノブに手をかけた
帰る前に、名前ぐらい聞いておこう
「名前は、なんですか?」
「シャリターだよ、一応私からも聞いておくよ、こんなところに滅多に人なんて来ないからね」
日本人じゃないのか?日本人だけど外国生まれが正解だろう
「える、鈴木える」
なんか俺の直感だがこれからもお世話になりそうな気がする
「ありがとうございました」
そして、ドアノブを押し込む
開かない…
さらに強く押し込む
びくともしない…
「封印されし禁断の扉よ!力を解き放ち開くがいい!」
開かない |ェ・`。)・・・ショボーン
「える何してるの?」
シャリターが俺の後ろまで来て、聞いてくる
「扉が開かないんです」|ェ・`。)・・・ショボーン
「?????」
シャリターは、俺の腕を掴みドアノブから離させて、もう片方の手で扉を引く
扉の隙間から、光が差し扉が開く
「開くじゃん」
は?
「シャリターさんおかしいだろこの扉、普通玄関の扉は家の中から開ける時、押して開けますよ」
シャリターさんは、扉を開ける時に確かに引いて扉を開けてた
「敬語不要だから、ここら辺のルール、扉は普通引いて開けるし、そんな扉なんてどうでもいいでしょ」
確かに、扉なんてどうでもいい、敬語不要ルールは疑わしいが
「迷惑かけてすみません、さようなら」
「敬語不要だって、じゃあーね」
シャリターが、玄関で手を振って見送る
俺も、手を振って前に振り返る
道路は鋪装されてることから完全田舎ってことはなさそうだ
俺が眠ってる間深夜になったのだろう、人通りは一切なくやけに暗い
街灯が全然なく、上から光が注いでるように感じた
そして、上を見上げると見事な満月
「おかしいだっっろっーーーー」
ブックマーク登録と評価よろしく