表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

始まりの物語

どもども、ヤタと申します。

これが処女作となります。

様々なモンスターが出てくる作品になりますのでそういった作品が好きなら是非見てほしいです。

書くのが少々遅いのでゆっくりとした投稿ペースとなると思いますが、優しい目で見てもらえると幸いです。

呼吸が乱れる。すぐ後ろからは木々がなぎ倒され、地面を割りながら巨大な猪なこちらに向かって走って来ている。このでは確実に踏み潰され、惨めに死んでしまうだろう。


俺は精一杯の抵抗で後ろに手を向け叫んだ。


『我に仇なす者に鉄槌を!ウォールカノン!』


森の中に俺の叫びがこだまし空気中に無数の岩が成形されていく。それらがひと塊になり、巨大な猪に向かって飛んでいった。


ドガッ、という音がなり猪に岩が当たるが瞬時に砕ける。しかし、猪は猛進を怠ること無く、寧ろ更にスピードをあげて走ってきている。3メートル、2メートルとどんどん距離は短くなっていき、今にも猪の牙が俺の体に刺さりそうだ。体力が持たずもうダメだと思ったその瞬間、女性の綺麗な声が聞こえた。


「伏せて!」


その声の通りに思わず、というか限界だった俺は前に倒れ込んだ。すると頭上に光る何かが一瞬通り過ぎた。そう感じた時には猪の絶叫が辺りに轟いた。


俺に伏せてと言った声の主は攻撃の手を休めることなく白い稲妻のようなモノを繰り出し猪の命を終わらせた。俺を追ってくる獣が消えた事により安堵し、それと同時に今まで走って逃げてきた時の疲労が一気に流れ込んできた。体が新鮮な空気を取り込もうと必死になるが筋肉が硬直し堪らず咳が出る。


「大丈夫ですか?」


俺の事を助けてくれた声の主が優しく背中をさすってくれた。一通り咳が出終え、呼吸が落ち着く。


「あぁ…大丈夫です。助けてくれて本当にありがとうございます」


お礼を言いながら声の主を見ると思わず息を飲む。その姿はとても奇妙なものだった。顔の左半分はとても美しい顔をしていた。エメラルド色の綺麗な目でこちらを見ている。しかし、右半分のデコから頬に至る部分が火傷で酷く爛れていた。フードで隠していたが座り込んでいる俺からは見えてしまった。


「怪我もしてないようですね」


女性は俺に怪我が無いことを確認するとスタスタと歩き始めた。自然な動作で反応が遅れる。


「あのっ!」


呼び止める声に思わず力が入る。助けてくれた恩人に対して何もしない訳にはいかない。じいちゃんが言っていた。人との縁は大切にするものだと。ならばこれも大切な縁の内に入るだろう。


「…何か?」


女性は歩みを止め、背を向けたまま答える。しかし、止まってくれたはいいが何を話せばいいのか分からない。とりあえず、名前を聞くぐらいならいいだろうか。


「俺の名前はウィル。貴女の名前を教えて貰っても構わないか?」


だが返事は返ってこない。声の掛け方を間違えたか…。


「えっと、俺は村から独り立ちして今王都に向かっている途中なんだ。良ければ道を教えてもらえないだろうか?」


嘘ではない。じいちゃんが死んでから俺は1人になった。村の皆とも関わりが薄かった。だからこそ、こうして村を出て王都で働こうと思っていたのだ。


「あっちに真っ直ぐ歩いていけば道に出ます。そこからは道なりに進んでいくと時間はかかりますが王都に着くでしょう」


女性はこちらに顔も向けようとしない。やはり、あまり人と関わりたくはないのだろうか。しかし、俺にも意地がある。どんな手を使ってでも恩返しをする。


「…あ、あいたたた!」


 俺は大げさに腹を抑えて倒れこんだ。露骨だがこれくらいしか彼女を止める方法を思いつかない。見ず知らずの俺を助けてくれたんだ。きっと手を差し伸べてくれるはずだ。ちらりと彼女の方を見てみるとこんな状態の俺に対して一切の反応を見せずに立ち去ろうとしていた。

 

抑えていた腹を軽くはたき砂埃を下すと俺はすたすたと女性の後についていく。


「…まだなにか?」


 彼女はあきれたようにこちらを向いた。


「親のしつけで恩人には恩を返せと習ってるんだよ」

「なら私のことは放っておいてください」


 …そういわれるとこちらには何もできない。確かに少し強引過ぎたのかもしれない。今まであまり人と関わってこなかったから距離の詰め方がわからない。


「…すまなかった。我儘だったな」

「いえ。ではこれで」


 そういうと彼女は森の奥へと去っていった。木の陰に姿が隠れて見えなくなる。こうなってしまっては仕方がない。切り替えていこう。


 彼女が倒してくれた獣、ロートルボアの状態を確認する。こいつは普段は大人しい生き物なのだが、敵対すると相手の絶命を確認するまで攻撃を繰り替えす習性がある。しかし、俺は敵対するような行動はしていない。何がこいつをこのような状態にするのか調べなくてはならない。


「これは…」


 ロートルボアの状態は彼女の攻撃の他に、左の脇の下に釘のようなものが打ち込まれていた。その周りの毛を削いでみると紫色に変色している。どうやら毒のようだ。狂暴化の原因はこれで間違いないだろう。


 俺の鑑定レベルでは詳しくはわからない。町のギルドに報告して調べてもらう他ないだろう。


「しかし、他の生き物も見当たらないな。一体どこに行ったんだ…」


 普通なら聞こえる鳥のさえずり…この気候ならミズミミズクなどがいるはずなんだが、このロートルボア以外に何も見掛けない。この森はなんだか不気味だ。早々に抜けるに越したことないだろう。


 俺は素材とするためにロートルボアの牙を叩き折る。こいつの牙はすり潰すと薬の原料になる。俺が倒したわけではないが有効活用させてもらおう。


 先ほどの女性のことがふと頭をよぎる。まぁ、俺より強いだろうし心配する必要もないだろうが…次また会うことがあればこの牙で作った薬でも渡すことにしよう。


 俺は教えてもらった方角に向かって歩き出す。これから様々な生物や人に出会うだろう。新たな生活に期待と不安が入り混じる。俺は俺の夢を叶えるために進む。


 これはウィルが世界を救う物語である。


~~~


生物紹介


 ロートルボア  危険度 C

  大きな体と赤黒い毛、4本の牙をを持つイノシシ型のモンスター。

  雑食で普段は薬草や魚を食べている。牙は素材になり食べている薬草の量で薬の効果が変わる。

  大人しい性格だが敵対した生き物には絶命を確認するまで攻撃を繰り返す。


 ミズミミズク 危険度 F

  フクロウ型の小型モンスター。

  肉食で疲弊している小型モンスターを食べる。お腹の中に水袋を持っており水を溜め込む習性がある。

  貯めた水は胃液と混ぜると独特な匂いを放ち、それを獲物に付けてマーキングをする。洗ってもなかなか落ちないのでかけられた場合は上から酒などを被りより強い匂いで上書きするといい。



最後まで読んでくれてありがとうございます。

今後の励みになるので是非星での評価をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ