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ある2人の墓参り(最終話)
6年後。
2月14日(日)朝。
あるお墓の前に、2人の男女が訪れた。
「この人が初恋って言ってた人?」
「うん。そうだよ」
男女は親しげに話しながら、そして少し思いに耽りながら、お墓を掃除し始めた。
2人でする掃除は効率が良く、瞬く間に掃除をし終えてしまった。
すると男女は、蝋燭と火をつけた線香を立てると、手を合わせて目を瞑る。
しばらくすると、また動き出し、最後にお供えを施し、最後に一礼してお墓をあとにした。
男女が来た道を戻る途中、男性の方は何かが聞こえたように立ち止まって周りを見回したが、女性の方に呼ばれると返事をして女性の後を追うのだった。
2人が去った後のお墓には、
仏花用のカスミソウと、少しお墓には似合わないスイートピー、そして、容器に入った、シフォンケーキ型の砂糖菓子が供えられていた。