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DBQ 転生したら弟だった  作者: ああいう
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第10話 妖精大暴走 5

 ボレアスの一角に少女の気合が響き渡った。


レッカの剣撃を避け損ねたポーラが後ろに吹っ飛び畑に飛び込んでいく。




 「ポーラ、大丈夫?」




 木剣を持ったままレッカが声を掛けると泥だらけになったポーラが打たれた場所を擦りながら畑から出てきた。




 「痛ってー!、なんだよさっきから、もう泥だらけだよ。くそぉー!


なんでさっきから突きばっかりなんだよ、レッカ。」




 「昨日ベルが使ってた戦法なんだけどね、真似したんだけど私に合ってるわ、これ。」




 (ベルが?、あんな戦法俺には使って来た事無いぞ。あの野郎俺には今まで手を抜いてたのか?。)




 「やっぱりポーラが相手だと物足りないわ、私は今からお社に行くけど貴方どうする?」




 「はあ?お社って、今コボルトが近くに出てて行けないからって稽古に誘ったのはレッカじゃないか?


街の外に出るなって言われてるだろ。」




 「そうなんだけどね、でも大丈夫よ。


よく考えたら相手はコボルトでしょ、もし出くわしても負ける訳ないし。」




 「駄目だって、もし大丈夫でも後でばれたら怒られるぞ。」




 「ばれなきゃ平気って事でしょ、ポーラは来なくてもいいわよ。


私はエリシア様に技のアドバイスして欲しいのよ。」




 結局ポーラも一緒に行く事になった。


いくらレッカでも女一人で行かせる訳にはいかなかったし、そもそもレッカのわがままをポーラが止められた事など過去一度も無い。




 門番が警戒している出口を避けて街を抜けだした二人は、ベル達のいる社に向かった。


ボレアスからベル達の住む社までは約10km程、微妙な勾配がついた一本道の上り坂になっている。


中間地点に小さな小川が流れていて小さな橋が架けられている。


その橋を越えてしばらく行った所でポーラがレッカに声を掛けた。




 「レッカ隠れるぞ、コボルトだ!」




 二人はすぐに道を外れて草むらに身を潜めた。




 「拙いわね、もう捕捉されてる。」




 レッカ達の位置から、槍を持ったコボルト3人が道の向こう側から草むらに身を潜めながらゆっくり近づいて来るのが見える。


明らかに自分たちが狙われているのが分かった。




 「どうする?逃げるなら御社の方が近い、あそこまでいけばエリシアさんがいるだろ。」




 「そうね、走るわよ!」




 走り出したレッカとポーラを追いかけてコボルト達が追いかけはじめた。


御社に向かう道を走るレッカ達を追いかけるコボルト達が二組いる。


レッカ達が最初に見つけた3人組と後ろから回り込んでいたと思われる2人組のコボルトだ。




 「挟み撃ちするつもりだったみたいね。」




 「どうする?、あいつらすごい速さだ、すぐ追い付かれそうだ。」




 「追い付かれたら戦うしか無いでしょ。油断しちゃ駄目だからね!」




 結局レッカ達は社まで後2キロメートル程の場所で追いつかれた。


幅5メートル程の小道にいるレッカ達を道の両側から挟み込むのは全員短槍を持った二組のコボルト達だ。


木剣を握りしめたレッカが敵の様子を見定める。


三人組の中央、先頭に一回り大きいコボルトがいる。


言葉は分からないが仲間に指示を出している。


(多分こいつがリーダー、なんとなくだけど一番強そう。)




 「ポーラ!二人組の方は任せたわ、私はこっちを貰うから。」




 二人はお互い背中合わせになって自分の敵を見定めた。




 これがボレアスの街を代表する悪ガキ二人の初陣、生まれて初めての命の奪い合いであった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 戦いの先手を取ったのはレッカ。


近づいてきたコボルトに最速の胴突き、まともに食らったコボルトが数メートルも吹き飛ばされる。


(残り2匹!)、勢いに乗って次の相手に突貫しようとしたレッカであったが、倒したはずのコボルトがむっくりと起き上がった事に気づき、ぎょっとして後ろに下がる。




 吹き飛ばされた味方への攻撃に驚いて一瞬動きを止めたコボルト達であったが、立ち上がったコボルトを見て槍を構え直した。




 レッカにとって、それは想定外だ。


手加減はしていない、否、彼女にとっては初めての実戦である、そんな余裕など無かった。


ただでさえ2対5、数の不利がある。


早めに相手の数を減らして優位に立ちたい、目の前の敵を倒してポーラに援護に行きたい。


故に自分にできる最大限の攻撃を初手で叩き込んだつもりだった。


だが、倒したはずの相手が何事もなかったように立ち上がって槍を構えている。


レッカの胸中に逡巡と困惑、そして自分の剣に対する不安が湧き上がる。


 (木剣じゃなくて真剣を持ってくるべきだったかも。)


一瞬後悔したレッカであったが無い物は仕方ない、一撃で終わらないなら連撃を叩き込む。


そう思い直し、改めて自分の木剣を握り直した。






 対するルバド達にとってもレッカの初撃は想定外であった。


普人族の子供二人、対してこちらは部族内では指折りの戦士5人。


まして部族を率いる長である自分がいる、容易い狩りの筈だ。


無論、自分達を生まれ故郷から追い出した普人族は憎い。


だが子供を殺すつもりは無い、ルバドには戦士の誇りがある。


目的はいなくなった子供の捜索、二人を捕らえて尋問が終わり次第解放するつもりだった。




 だが、ルバドはか弱い獲物の筈だった子供の一撃を見て考えを改めた。


相手はただの獲物ではなく敵、子供とは言え牙を持った戦士が相手ならば手加減は不要である。


事実、相手の武器が真剣ならば仲間が一人死んでいたのだ。




 レッカ達二人を見据える目の色が変わったのはルバドだけではない。


初撃を受けた戦士、ガールバを筆頭に最初にあった油断の色が消えている。


そしてそれは当然だ、ここにいる仲間はみな普人族に身内を殺されているのだから。


眼前の普人族二人を見据える5対の瞳に殺気が満ちると同時に、周囲の空気が一瞬にして殺戮の臭いが充満した。




 

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