第3話:来訪者…。
いつも、読んでくれてありがとうございます。
ヴー、ヴー、ヴー。
「ん……。うん……?」
何かが鳴っている…?
ヴー、ヴー、ヴー。
「んあっ!?」
携帯のバイブレーションで目が覚めた。
外を見てみると夕方になっている。
「もう、夕方かよ……。まぁ、朝から疲れてたからか…。…あっ、そういえば…!?」
携帯を見てみる。
→新着メール1件
「誰からだろう……?」
メールを見てみる。
→題名:無題
「……?」
開いてみた。
『校長に怒られたー…?このドMッ!!そういうことだから、今から凛ちゃんと楓ちゃんと行くから、よろしくッ!!』
「こ、こいつはぁ……。どこからツッコミを入れればいいんだろうか……。」
相変わらずの言葉で分かると思うが、メールを送ってきた相手は美羽だ。
「あいつ絶対ネジが1本抜けてるな。うん、絶対に抜けてる……。」
そう1人でつぶやいていると、玄関からチャイムが聞こえてきた。
ピンポーン。
急いで階段を降りる。
「あっ、はーい。今、出ます!美羽達かな……?」
ガチャッ
「どなた様ですか………!?」
ドアを開けると驚いた。
そこにいたのは……。
黒い長い髪の女性……。
今朝見た夢の中にいた人。
そして、その人に瓜二つだ。
「こんにちは。昨日?ぶりね。」
「……。」
「あら……?返事がないわね……。もしもーし。」
「………。」
いきなりのことで、言葉が出なかった。
それ以前に、これはまだ夢なのか、現実なのか、区別がわからなくなってしまった。
その時だ、
「あっ、そういうこと…?」
そう彼女がつぶやくと、俺に唇を重ねてきた。
「っ!?」
この感触…。
現実だ……。
急いで彼女を引き離す。
「こういうことを期待してたのね……?ふふっ…。」
「ちょっ、な、何するんですかー!?」
「あら。やっと、しゃべったわね。」
「そりゃー、しゃべりますよ。あんなこと……されたら…。」
夢と同じようなことをされて、少し戸惑ってしまった。
そして、そういう顔をしていたら、
「ごめんなさい。怒らせちゃった…?」
彼女は困った顔をしながら聞いてくる。
そんな顔を見ていると、思わずすぐ否定してしまった。
「い、いえっ、そんなことはないですっ!!」
「それならよかったわ……。嫌なのかと思っちゃって…。」
「えっ?あっ?その……。」
「まぁ、それはさておき……。」
また、弄ばれてる気がする……。
そう思ったが、彼女の話は続いている。
「ちょっと家に上がらせてもらっていいかしら……?ちょっと、あなたに話したいことがあるのよ。」
赤の他人……。
しかし、今朝の夢から現在の出来事……。
これは何かのめぐり合わせだと思い、家に上げることにした。
「わ、わかりましたっ。どうぞ。」
そう言うと彼女を居間に上がらせる。
「あのっ、お茶どうぞ。」
「あら?ありがとう。」
そう言い、彼女はお茶を飲み始めた。
さっきはドタバタであんまり顔を見れなかった。
しかし、今マジマジと見てみると、同年代の人たちには見られない魅力があった。
大人の女性ってやつだろうか……?
が、それとも違う感じもする………。
そう考えていると、彼女が話し始める。
「そういえば!まだ自己紹介してなかったわね。」
「あっ、はい?」
「私の名前は蘇芳葵。」
俺も自己紹介をし始める。
「俺の名前は……。」
すると、俺の言葉を遮るように彼女が言葉を発する。
「知ってるわ。朝倉詠人…君ね……。」
「え?何で俺の名前を…?」
「それは……。……、今から話すこと、信じてくれるかしら…?」
「……?どういうことですか…?」
「いきなりすぎて、現実味がないかもしれないけれど、ちゃんと受け止めてくれる……?」
彼女は真剣な面持ちでそう聞いてきた。
何か大事な話を告げたいのだと思い、誠意を込めて返事をする。
「全部受け止めれるかはわかりませんけど、受け止めてみせますっ!」
その返事を聞き、彼女が話し始める。
「そう……。ありがとう…。じゃあ、話すわ…。」
「あっ、はい。」
「今朝、あなたは男の子から女の子になっていた?そうよね?」
「えぇ、まぁ……。」
「それは……、私があなたの性別を変えたからよ…。」
「………!?ま、まぁ……、あの夢が原因であるってのは、大体の見当は付いてました……。」
「そこまで驚かないのね……。でも、悪戯にあなたを困らせてるわけではないの。」
「どういうことですか…?」
「ちゃんとした理由があって、あなたは……。その……。」
「お、俺は…、なんですか……?」
彼女は決心した顔で俺に言った。
「あなたは今、命を狙われてるのっ!!」
第4話へ。
お疲れ様でした。
第4話へ続く。