21話
お久しぶりです。
あとがきの方にお知らせがありますので、ぜひ見て頂くようお願いいたします。
※この21話で内容が矛盾する点もありますが、あとがきの方でry
『そろそろ夏に差しかかろうとしていた。』
この言葉を覚えてるだろうか。
夏。
サマー。
summer.
なんで何回も繰り返したかって?
大事なことであり俺にとって現実逃避したくなる季節になったからだ。
よし、ヒントを出そう。
学校と夏。
この2つから連想する言葉で、俺が嫌がりそうなことを5秒以内に答えなさい。
はい。しゅーりょー。
短いって?まぁ怒らないでくれよ。
俺も情緒不安定なのさ…
まぁ俺の独白はこんなものにして。
本題に入ろう。
それは夏に差し掛かろうとしていたある週末の話。
いつもの練習場所で俺は銃の練習をしていた。
パンッ。
乾いた音が鳴ると同時に奥で的に命中した。
「よし、当たった!」
最近では上達してきたのか、かなり命中度が上がってきたと思う。
「黒い影が最近現れないにしても、自分の身は自分で身で守れるようにならないとな!」
言葉に出して自分に言いかける。
そう最近というよりも、あれ以来一度も見なくなった。
奴らはどこに行ったのか。
詳しいであろう凛に聞いたことがある。
「たぶん……探すのに…苦労……。別の街……?」
ということで、捜索に苦労しているらしい。
以前、凛が黒い影を倒したときに気づきそうではあると思う。
どうやら俺を狙っている奴は凄腕ではあるが、どこか抜けているところがあるみたいだ。
そんな時、後ろから声がかかる。
「詠人ー。まだやるのー?暑いよ…っ。」
美羽の声だ。
「おう。もうすぐ終わりにする。」
いつもは凛や楓が付き添うが、今日は珍しく美羽が付き添っていた。
というのも大分銃の扱い方がわかるようになり、自主練の許可が降りるようになったからだ。
しかし、美羽はこの銃のことなんて詳しく知らない。
俺がことあるごとに外出し、ここに来ているということを自分で情報を集め問い詰めてきたのだ。
そのとき焦った俺は、
「さ、最近エアガンにハマちゃったんだよな!さ、サバゲーとか出たいと思ってるし!」
と言ってしまった。
もちろん棒読みである。
だが、美羽は興味を示してきた。
「へーっ!新しい趣味を始めたんだねッ!私も見てみたいよっ!?」
という風になってしまったのだ。
断ることもできず今回初めて連れてきたのだった。
こそこそ隠れてやるよりも堂々とした方が良いって言葉があるだろ?
それを実行したまでだ。
現実、この美羽は気づいていない。
アホの子で良かったと思う。
パコッ
頭を叩かれた。
「お、おいっ、何でいきなり叩くんだ!?」
「なーんか、今失礼なこと考えてたでしょっ!?顔に出てたよッ!」
うぐっ、バレてたらしい。
「ご、ごめん。」
「それにしても本当に暑くなったねー。そろそろスイカやアイスやかき氷やプールが恋しくなってきたよー。」
俺の謝罪はスルー。
さすが美羽さん。おれたちにできない事を平然とやってのけるッそこにシビれ…
「食べ物多いなっ!?」
思わずツッコミを入れてしまった。
「いいじゃんーおいしい季節だよー。」
「まぁそうだな。俺も楽しみだけど…あ゛っ…!?」
重大なことに気づいてしまう。
「ん?何で(´・ω・`)って顔してるの?」
「美羽さん。さっき何て言った?」
「何で敬語なのかな?んーと、いいじゃんーおいしい季節だよー?」
「その前!」
「前?えーと、そろそろスイカやアイスやかき氷や屋台の焼き鳥や綿菓子やイカ焼きが恋しくなってきたよー?」
「食べ物増えてる!?しかも抜けてるし!その後!」
「ん?んー…あっ、プールが恋しくなってきたよー?」
「(´・ω・`)」
「ホントにどうしたのっ!?」
「いや…(´・ω・`)」
「あっ!!プールかな!」
「うん(´・ω・`)」
プール。いや地獄と呼ぶべきか…。
「女の子になって初めてのプールだねっ、詠人!ぐふふふースクール水着似合うんだろうなー。」
こいつは楽しんでるな。
幼馴染が困ってるっていうのにこの状況を絶対楽しんでるな。
いや、俺もプールに入ることは全然構わない。
むしろ楽しいと思う。
だけど、今の俺は女の子だ。
「うわああぁぁぁぁ。プール休みてぇぇぇぇ!」
そう叫ぶと頭の上に鈍い音が聞こえた。
ゴスッ
「サボり宣言は頂けないかなッ!大丈夫!悩みは分かってるつもりだから。ちゃんとフォローするよっ!」
次の週、みんなは待ちに待った天国、俺にとっての地獄の時間がやってきた。
「ひゃっほっおおおおおおおおおお、女子の水着ィィィィィ!!」
奇声が聞こえてきた。
「やっぱり女子の水着は眼福だよなー詠人!楽園だよなー。」
そう言いながら近寄ってきたのは、
「これはこれはエロ魔人こと真一さんじゃないですか。」
三木真一。
前にも行ったことがあるが、一応こいつはイケメンの部類だ。
こんな歪んだ性格の持ち主だが、なぜか女子にモテる。
一応俺の親友?
だった?
「あれ失礼な言動で、さらに心の中でも俺を蔑ろにしてない!?」
「してません。私これから着替えなきゃならないので失礼します。」
正直、面倒なので足早に去ろうとする。
『それよりさ。お前近くで見たらかなり可愛いよな。』
以前、この言葉をかけて、迫ってくるという蛮行にこいつは走った。
俺が元男で親友だと知っててもだ。
その後美羽にボッコボコにされ、一応反省はしてたみたいだが…。
「いや、でも俺お前の水着が早く見たいんだよ!ここで着替え…」
「ちぇすとっ!」
俺の前を素早く誰かが通り過ぎた。
「グフっ!!」
真一の悲鳴が聞こえたと思ったら、遠くまで吹っ飛んでいた。
「最近の俺の扱い―――ゲルルグッ…。」
息絶えたらしい。
「大丈夫、千尋!?」
美羽が真一を見向きもせずに俺に尋ねてくる。
ちなみに、学校等の場所では朝倉千尋と名乗っている。
俺朝倉詠人の双子の妹として。
ちなみに俺は行方不明(校長が転校扱いにした)ということになっている。
「う、うん。大丈夫。ありがとう。」
「さー、プールに移動しようねっ!凛ちゃんと楓ちゃんは先に行ってるからっ!早く行って、わ、わたしに水着姿を見せてくれるかな?ぐふふふ」
こ い つ も か !
というかこの幼馴染はいつからオヤジ系女子に転職したんだ!?
「だ、大丈夫です。一人で行きますから!」
「ホントに大丈夫なのかね?ワトソン君。」
「はい。大丈夫ですから!あと私はワトソン君ではなく千尋という名前がありますからね。」
「なになにっ?ツンデレ?ツンデレなの!?」
目をキラキラさせながら言うな!
「ホントにホントにいいのかなっ?」
「大丈夫なはず…だけど、やけに絡んでくるな。何かやばいことでもあるの?」
小声で美羽に尋ねる。
「着替えのときに、私が詠人の体を見るのは大大大歓迎なんだけど、詠人から見られるのはちょっと思うところもあるのだよっ。」
「っ!?」
そうだな。
言われてみれば元男から見られるってのはきついものがあるか…。
さらに俺の秘密を知らない女子は後で知った時の精神的苦痛はなおさらでかいだろうな…。
「悪い。美羽の言うとおりだな…。うっかりしてた…すまん!」
「ふふん、分かればいいのだよー。」
ドヤ顔で言われた。
「しかし、今日は調子が悪いだので休みにしてもらったとしても今後どうしようか…」
今日一日なら病欠でも通せるだろう。
今後ずっととなるとさすがに教師陣も黙っていないだろうし、何より単位取得が厳しいだろう…。
「大丈夫っ!対策は万全なのだよっ!」
ドヤ顔でそう言われた。ドヤ顔で。
「ホントに!?それはすごい助かるけど、一体どんな対策なんだ??」
「まーまー、それはプール場に着いてからのお楽しみと言うことでっ!どやぁ」
「口で言うな口で!」
凛と楓が先に行ったと美羽から聞いてたとおり、既に更衣室の前に待機していた。
そして、
「これを着けてくださいますか千尋様。」
楓が小さい箱を渡してくる。
「うん?なんだろ?開けてみていい?」
「はい。どうぞ。」
着けるってことは身につけるものだよな。
「あれ…これって…。」
「……コンタクトレンズ……ドヤァ」
凛まで!?どやぁってそんな流行してんの!?
スルーだ。凛には悪いが聞こえなかったフリでスルーしよう。
「コンタクトか。とりあえず着けてみればいいよね?」
「はい、着けていただいた方が説明するより早いかと思います。」
「よし、初めて着けるけどこんな感じかなー」
装着してみた。
「あれ…」
人の顔や周りの景色は見えるけど…
「人の体に黒いモヤがかかってる??」
「その通りです。これで更衣室に入っても顔とその周りの景色しか認識できず、身体は見えません!…………どやぁ…///」
楓まで!?
しかもどや顔で言わないといけないのにすごい照れてるな…。
正直可愛いけど、言わなければいいのにと思うが無粋な考えか。
なになに?というか、これって俺も言わないといけない流れなの?
「な、なるほど。これで普通に更衣室で着替えることができるようになったんだね!どやぁりがとう。」
よ、よし自然な流れから言えた。言えたぞ!
「え?何言ってんの千尋っ?」
後ろで状況を観察していた美羽から言葉がかかる。
「……お礼は……ちゃんと……」
「いいよ、凛ちゃん!さー楓ちゃんも一緒に入ろ!」
「…/////」
そうして3人は更衣室に入っていった。
「(´・ω・`)」
あ、あれええぇぇ?
俺のどやぁはダメなの?
俺も入ろう…。
更衣室の中に一歩踏み出すとそこは楽園だった。
俺の知ってる男が群がったむさ苦しい匂いではなく、何というか華やかな香りがする。
あと黒いモヤのせいで何かエロく感じる。
そういう風に思ってしまうだけ、身体は女性になっても心は男のままなんだなと実感した。
「さて…美羽たちの所に行くか。」
このコンタクト。
身体が見えないだけで、足元等は見えるので本当によくできてる。
楓がくれたことを考えると、やはり最先端の技術で作られたのだろう。
というかこの日にくれたということは、前から準備していたのだろうか?
どちらにせよ、もう一度ちゃんとお礼を言っておかないとな。
「楓、このコンタクトありがとう。すごい助かるよー。」
「あっ、いえいえ、お礼を言うのはこちらの方です。コンタクトレンズというものに、そういう使い方もあるのだなと勉強させて頂きました。」
さすが楓さん良くできてる。マジ天使。
「あれー千尋遅かったねー。」
となりでわざとらしい口調でにやけている美羽。
うん、置いていかれたのは俺にも少しはあるとはいえ、大部分お前に原因があるんだけどな。
「ちょっと色々あってね…。ところでさ、このコンタクトの入ってた箱の底部にスイッチがあるんだけど…。」
さっきからすごい気になってた。
押していいのか?
あっ、でも説明がないということは押したほうが早いということか!?
「あっ……。」
楓が何か喋ろうとしたが俺の行動の方が早かった。
「押してみようっと…!」
すると、そこには…!
着替え途中の3人の生まれたままの姿が俺の目に映った。
大きい山とか小さい山。
自分の姿にはもう慣れてしまったが、他人の姿はまだ見たことがない。
「これが伝説の楽園か。」
無意識に呟いていた。
男の姿でここまでたどり着けなかった。
まさか女性になってここまでくるとはな…。
神は俺に―――
「ダメッ!」
「…だめ!」
「駄目です!」
美羽、凛、楓の言葉と同時に目に痛みが走る。
「うぐっ…目がああああああああああああ。」
周りを気にせず思わず大きい声が出てしまう。
幸い大部分の生徒は既に更衣室を出ていた。
しかし、誰か一人が目潰ししたな。
「…小さい山…とは失礼………」(ボソッ)
このあと、こっぴどく3人から怒られた。
結果、1週間ほど口を聞いてくれなかったが…。
謝り通して一応許してはもらえた…。
プールについては男子勢と女子勢から黄色い声援?が飛んだりしたが、何事もなく参加することができた。
これも3人の協力があってのことだろう。
本当に感謝してる。
ありがとう。
長らく放置してしまって本当に申し訳ございません。
この「ぐだぐだッ☆」は新しく、
「ぐだぐだっ☆」(N3747BR)として、加筆修正・再編集して投稿しております。
話の内容も若干変えて投稿しています。
今後こちらは更新せず、新しい方で頑張っていきたいと思っています。
こちらでお読みになっていただいた皆様も、ぜひそちらで読んで頂ければ幸いです。
拙い文章ですが精進して参ります。
今後ともよろしくお願いいたします。
猫背