第14話:再来?
お待たせしましたっ!
さっそく帰ることになって、俺と凛は帰り道を歩いているわけだが…、
「……。」
「……。」
沈黙……。
何だこの空気…、ちょっと気まずいんだが…。
この空気を断ち切るために俺は口を開く。
「ふ、2人で帰るのって初めてだね…?」
「……、そうだね……。」
いかん、会話が終了しそうだ。
話を繋げていかなきゃ…。
「そ、そういえば話って何…?」
すると、凛が顔を近づけてくる。
「っ!?」
いきなりのことで思わず顔が赤くなる。
「えっ!?ど、どうし―――。」
俺の言葉が全部出る前に凛が言葉をかぶせてくる。
「しっ…!」
凛が俺の口に手を当てて物陰に連れて行く。
な、なんだこの展開…。
口に当てられていた手が離れる。
「ど、どうしたのっ!?」
「……、あれ……。」
「………?」
凛が指す指の方向を見てみる。
「えっ!?」
その方向には、先日俺を襲ってきた黒い影が歩いていた。
「な、何であいつが……!?」
俺がそう驚いていると、黒い影の前に通行人がいた。
そのまま歩いたら黒い影とぶつかる!?
「あ、あの人が危ないっ!?た、助けなきゃっ!」
俺が走っていこうとすると凛が手でそれを止める。
「待って……。」
「で、でも、あの人が危ないっ!」
「あそこに…行って…、あなたに…できることは、あるの……?」
その言葉は核心をついていた。
「うっ……。」
「大丈夫……。見てて…。」
その言葉を聞いて通行人を見る。
黒い影とちょうど接触するところだった。
すると、
「っ!?」
俺の目にした光景は…、
「な、何も起きない……?」
黒い影と通行人は交差するように接触したのだが、何もなかったように通り抜けて行った。
頭が混乱して呆然としていると凛が口を開く。
「大丈夫って…、言った…通りだったでしょ……?」
「う、うん…。で、でも何で…?」
「あの黒い影は…、魔力を持たない人には…干渉することができない……。そして、魔力を持たない人には…、黒い影は見えない…。」
な、なるほど…。
それで何も起きなかったんだ…。
「そ、そうなんだっ!?って、何でそんなこと知ってるのっ!?」
色々知ってるってことは、凛は完全に見えてるな…。
でも、なぜ……?
「見てて……。」
「え……?」
凛はそう言うと何もない空間を見て、手を伸ばす。
そして…、
「契約のもとに……、私に力を……。」
と、言い終えるとその空間から黒いスナイパーライフルが出てくる。
「っ!?」
俺が驚いていると凛はそれを掴む。
そして、銃を構える。
「排除……、開始……。」
そう言い終えると、凛は引き金を引いた…。
すると、白い線を描くような閃光が発射される。
―――バシュッ―――。
数秒もかからずに、白い閃光は黒い影を貫く。
そして、あっという間に黒い影は消滅した…。
「あれは……。」
そう…、あれは…、俺をあの黒い影から救ってくれたときの閃光だった…。
ということは…、
「も、もしかして……―――。」
俺が言い終える前に、凛が話し始める。
「そう……、私は……詠人を守る…この世界の協力者……。」
「やっぱりか……。蘇芳さんが今日会いに来るって言ってたのは、凛だったのかぁ…。」
この世界の協力者が身近な人っていうのには驚いたが、さっきの光景を見たら心に思うことがあった。
「凛………。」
「何………?」
凛はあのとき救ってくれた人…。
言わなきゃな…。
「本当にありがとう…。」
すると、凛は笑顔でこう言った。
「どういたしまして…。」
凛の笑顔初めて見たな…。
その顔を見たら、思わず顔が赤くなる。
そして、再び歩き出し俺の家の前に着いた。
「詠人……、これ……。」
凛が手を伸ばし、俺が受け取る。
「ん……?」
受け取った手のひらを見てみる。
「赤い宝石……?」
よく見てみると、宝石の中には黒い何かが入っている。
「これは…?」
「もし…、危険が迫ったら…それを割って……。」
わ、割るのか…。
「私も…常に気をつけるから……。じゃあ…、帰る……。」
「わかった…。今日は色々とありがとう!」
そうして、俺と凛は別れた。
そして、今日の1日が終わった。
色々と考えることもあったが、すぐに深い眠りに落ちた。
次回のUPは来週の月曜あたりを予定しています。(早くなったり遅くなる場合があります…。)