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魔族を蝕む聖剣の光  作者: うさぎボーイ
第四章 「星々が如く煌めきの少女」
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「モンスター・パレード」

 *


「西の方角から、魔物の軍勢が真っ直ぐこちらに向かっていると」


「はい。イクシス将軍……たった今ここを発とうとしていたところ大変申し上げにくいのですが、協力していただけないでしょうか」


「当然だ」


 ここは壁の中に設けられた、兵士達の拠点となる部屋。そこで俺達は今、兵士達から先程の報告について詳しい話を聞いているところであった。


 それによるとどうやら魔物達は西の方角……つまり、この門の正面から大群でこの国に向かっているらしい。行進のペースから計算すると、あとものの1時間で到着するのだとか。


「このことはまだホルス様に報告していないのか?」


「は、はい」


「ならばまずこのことを至急ホルス様にお伝えしろ。そして私は尖兵として先に連中を襲撃する。その間にそちらでも迎撃の準備を済ませておいてくれ」


「了解しました!」


 流石はイクシス。サンメラ王国きってのやり手将軍だけあって的確な指示だ。そして自己犠牲も躊躇わないその作戦には彼女の誇りが顕れている。


「俺も共に行こう。イクシス」


「私もお供します!」


 俺も魔王討伐の任があるとはいえ、これを見て見ぬふりはできない。彼女に同行し、魔物共の殲滅を遂行するべきだろう。それに、もしも連中がグラファの手下だった場合、奴の居場所を突き止める手がかりを得られる可能性がある。


 イクシスに指示された兵士は部屋を出て、急いでホルス様に報告に向かった。直にこの門の警備も固められることだろう。周りが迎撃の体勢を整える中、俺達がやるべきことはただ一つ。尖兵として敵の偵察をした後、急襲して連中の戦力を減少、あるいは全滅させるのだ。


「助かる。では向かうとしよう」


「案内してくれ」


「はっ!」


 もう一人の兵士は案内役だ。魔物共がいる場所までは彼についていく。俺達は急いで支度し、西の門入り口の馬を待たせているところまで向かった。


 *


「なるほど、コイツらがお前達の馬か」


「ああ。黒い方がジョー。白い方がフレイヤという」


 俺達は自分達の馬をイクシスに紹介した。黒馬のジョーと白馬のフレイヤ。どちらも俺達の頼れるパートナーだ。イクシスも二頭を見てウンウンと頷く。彼女もまた彼らを気に入ったのだろう。


 するとイクシスも、負けじと自分の馬を呼び寄せた。彼女が言うに、どうやら昨日就寝する前に予め馬を町の外で待機させていたらしい。イクシスが口笛をピュウッと吹くと、段々馬の激しい足音が聞こえてきた。


 馬の嘶きが響く。音がした方向に俺達は振り返った。するとそこには、彼女の愛馬と思われる一頭の馬の姿があった。深紅の胴毛に漆黒の振。まるで血を彷彿とさせるようなカラーリングが特徴の、顔立ちが若干渋い馬。彼はイクシスのところまで駆け寄るとそこで止まり、頭を下げる。頭を撫でてほしいのだろうか。


「コイツの名前は"ファルク"。私の相棒だ」


 ファルクか。良い名だ。俺達は「仲良くするんだぞ」とジョーとフレイヤに言い聞かせる。するとジョー達は鼻を鳴らした。通じたかどうかは分からない。


「では出発します!」


「うむ」


 兵士の出発の合図。俺達は頷く。各々の馬にまたがり、彼の操る馬に続いて走り出した。灼熱のサラジャ砂漠を駆け抜け、目指すは魔物の軍勢の現在位置。サンメラ王国を守る戦いが始まろうとしている。


 *


 約3マイル程進んだ頃、魔物達の行軍のものと思しき無数の足音が聞こえてきた。魔物達がもう近くにいることを察した俺達は一旦馬から降りて気配を軽減させる。この辺り一帯は岩山があちこちに点在していて見通しが悪い。姿を隠すには持ってこいの地形だが、逆に俺達も敵の姿を確認しづらい。


 だが、音を辿ればある程度の目星はつく。俺達は気づかれないように十分静かな足取りで音のする方へと向かっていった。岩を登り、または下り、起伏の激しい道のりを進むこと数分。ようやく敵の姿が見えてきた。


 この辺りを見渡せる高台。俺達から見て右の方向に、行軍する魔物達の後ろ姿があった。かなりの数がいる。ざっと見積もっても数百だ。今からあの量を相手に三人で突入していくわけだが、果たして上手くいくだろうか。イクシスは大丈夫にしても、俺とイリアは二人三脚で戦闘を行うためこのような団体戦では防戦一方になるだろう。二人で一体を相手取るからだ。


 まあ、あれこれ考えていてもそうやって戦っていくしか方法はない。俺は覚悟を決め、鞘に目をやりいつでも刃を引き抜けるよう意識を固めておく。


「イクシス。これは提案だが、俺とイリアは二人で一体の大物と戦い、お前はその他の雑魚をまとめて殲滅する作戦はどうだ?」


「面白い冗談だな。私に雑魚狩りをしろと?」


「嫌か?」


「嫌だな。私は自分の進みたい方向へと向かっていくだけだ」


 彼女が言うことを聞いてくれないせいで作戦を立てることが出来ず、イラついて思わず舌打ちをしてしまいそうになってしまった。かくもプライドの高い魔導士。しかしその実力は疑う余地なし。勝手に行動されても俺以上に大きな働きが期待できるからには俺も強くは言えない。仕方がないので、彼女の行動は彼女の気分次第ということにした。

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