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魔族を蝕む聖剣の光  作者: うさぎボーイ
第四章 「星々が如く煌めきの少女」
42/141

「砂漠の繁華街」

 *


 日が沈み、砂漠全体が宵の暗闇に包まれた。だが、あの国の……サンメラの外壁の灯りは夜になっても已然として灯っており、中から聞こえてくる人々の声が活発な街並みの様子を想像させる。


 馬を走らせ、または歩かせて進んでいくこと半日、俺達はようやくサンメラの国に到着したのだった。サンメラは、砂漠の中に建てられた女王統治の国家。


 街全体が巨大な石の外壁で覆われており、砂嵐などといった砂漠特有の災害から国を守っている。俺達は壁に設けられている通路を通るべく、ここから一番近い西側の門へと移動する。


「はぁ~っ!やっと着きましたねアイザック様!」


「ああ、これで長かった砂漠の旅も一段落つく」


 ここまで来れば街で物資の補給が可能、且つ宿屋でゆっくりと体を休められるので、砂漠地帯を抜けるまでの体力と備蓄を十分に蓄えることができる。


 あと、街で人々から情報も得たい。とにかくやりたいことが山積しているので、早いところ門を通過したいところだ。と、この街におけるやるべきことを頭の中で纏めている内に、馬の足はいつの間にか門の前まで進んでいた。


 門を守る兵士二名が、俺達の様子を伺っている。門の扉は開いているようだが、俺達が危険な人物でないことを確認しない限りは通してくれそうにない。


「旅の者か」


 左にいた兵士が俺達に尋ねる。


「ああ。俺はバレア王国に所属する将軍・アイザックである」


「なんと……!」


 俺はポケットからその身分を証明する証を、馬から下りて兵士に見せた。その証明書には我らがゴライアス様のサインと、公認であることを示すスタンプが押されてある。俺がバレア王国の将軍であることを聞いたもう一人の方の兵士は、何やら目を輝かせていた。


「うぉぉすげぇ!本物のアイザックさんじゃん!」


「バカ貴様!私語を慎まんか!」


 どうやらその兵士は俺に憧れを抱いてくれているらしく、証を見せられた方の兵士は彼の兵士らしからぬ言動について叱り、諌める。


「失礼しました、バレア王国の将軍・アイザック殿」


「ただいま我らが女王・ホルス様に報告を致します。その間このサンメラの街をご覧になってお待ちくださいませ」


「確認が取れましたら、貴殿方を城内へとご案内致します」


 兵士から丁重な説明を受けた俺達はその言葉に頷き、了承した。


「流石アイザック様!アイザック様の武勲はサンメラの地にも轟いているんですね!」


「よせイリア」


 イリアは俺を称賛してくれたが、ここはサンメラの国境付近。バレア王国から来訪した者として、あまりはしゃぎすぎるとバレア王国のイメージの欠損に繋がるので出来る限り慎ましい雰囲気でいたい。


「ここでは少し大人しくしているんだぞ、イリア」


 特にイリアは美味しいモノに目がないため、より厳重な注意が必要だ。大食いというのは何となく下品なイメージがあるし、何より彼女の食べっぷりそのものも割りと豪快なのでより下品に見えてしまう。ここは軍隊の上位階級者らしく振る舞わなければならない場面なので、俺はそのことをそれとなく彼女に伝えた。


「!……は、はい」


 流石、イリアは賢い。俺の言いたいことを瞬時に理解し、頷いてくれた。だがなぜだろうか。若干自信が無さげだが。


「では、お通りくださいませ」


 と、兵士に言われた俺達はいざ、サンメラの国境に入るべく進む。巨大な門を潜り抜け、その先にあったのは……。


「……ここが、サンメラの街並みか」


 ……人々の喧騒で満ち溢れる、眠らない夜の繁華街の景色だった。


 *


「本当にありがとうございました!何とお礼を言ったら良いやら……」


「気にしないでくれ。俺達はアレックさんと過ごしたあの時間があっただけで十分だ」


 砂漠から救い出したアレックさんとはここでお別れ。手を振って街の向こう側へと去っていく彼を見届けた俺達は、サンメラの街の探索を開始した。


 ここはありとあらゆる商店が軒を連ねる繁華街エリア。屋台や露店といった形態の店が多く、それぞれの店の間に仕切りはあまり無い。


 その状態で且つかなりの密度で店が集まっているため、熱気が凄い。砂漠の夜であるにも関わらず、汗が出そうなくらいにはそこの温度は上がっていた。


「わぁ……アイザック様、これとかとっても美味しいそうじゃ」


「イリア」


「うっ……分かってますよぉ」


 夕御飯が待ち遠しくて腹が減るのは分かるが、この国の女王……ホルス様と会う前の買い食いは避けたい。


「そこの魔族の兄ちゃん!ウチの品物見ていってくれよ!」


「神官のお嬢ちゃん、如何にも腹が減ってる顔をしてるじゃねえか!ウチで食っていきな!」


 それにしても、流石はこの激戦区で店を構える店主達だ。かなり押しが強く、例え俺が魔族特有の角を生やしていようが全く構うことなく接客をしてくる。


 ……まあ、俺が過去の魔物討伐で名を上げたことで、人々の魔族を見る目が少しずつ変わっていっていることもあるだろうが。今は、以前ほど魔族に対する風当たりは強くない気がする。


 実際、ドラドカでも俺が魔族だからという理由で警戒されることは殆ど無かったしな。とまあ、それは良い傾向なのだが今は必要なモノだけを買いたい。俺達は店主らの強引ぎみなセールスを掻い潜りつつ、日用品やら必需品の系統を売っている店を探していった。

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