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魔族を蝕む聖剣の光  作者: うさぎボーイ
第二章 「聖剣を振るう魔族の旅路」
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「ルスワールの薬術」

 ルスワールと名乗ったのは、赤色のツインテールを小刻みに揺らす無邪気そうな雰囲気の少女だった。フリルの沢山ついた淡い桃色のワンピースを着ており、年相応の愛らしさを感じさせられる。


 彼女は右手に何らかの薬草、左手に魔導書の類いを持って何やら忙しそうにしている。新薬の開発の途中だったのだろうか。それにしても、こんな年端もいかない少女が薬屋を営んでいるとはな……。


「今、大丈夫だろうか?」


 取り込み中だったら申し訳ないので、とりあえず俺は一声かけてみる。


「全然大丈夫だよ!何のお薬をお探しでしょうか?」


 ルスワールちゃんは笑顔で応対し、俺達を歓迎してくれた。両手に持っていた研究材料らしきモノを一旦その辺にあったデスクに置くと彼女は、ニコニコと笑みを作りながら俺達の注文を待っている。


「体力と魔力の回復薬と、身体異常に効く薬」


「それから、肉体強化の薬なんかもいただきたいな」


 俺は、戦闘に重宝する薬を一通り頼んだ。備えがあれば、如何なる強敵にも恐れることなく立ち向かえる。この店の腕次第ではその効果もかなり上がるので、俺達は薬の出来栄えに期待を寄せていた。


「分かりました!ではこちらですねー!」


 するとルスワールちゃんは、カウンターの奥へ行き、そこにあった棚から三つほど箱を取り出した。そしてそれらをわっせわっせと運んできて、俺達の前に置く。ルスワールちゃんが箱を開けると、そこには……。


「わぁ!凄いですねアイザック様!」


 整然と並べられた薬の数々があった。どれもこれも高級感のある色合いと質感の瓶に入れられており、何とも高価そうな雰囲気が漂っている。


「これ、パワー増強剤のテスターなんだけど、試してみる?」


「良いのか?じゃあ……」


 これは、ルスワールちゃんの腕前を試す良い機会だ。ルスワールちゃんから手渡されたテスターを手にした俺は、それを口にし飲み込んでみる。やがて瓶から液体が無くなったのを感じ取り、空き瓶を彼女に手渡した……次の瞬間だった。


「ッ!?」


「うぉぉぉぉッ!?」


 突然、俺の筋肉が急激に膨張を始めた。服がはり裂けそうなくらい肉体が巨大化している。これが……ルスワールちゃんの薬の力……!?


(あわわ、アイザック様が筋肉ゴリラに!?)


(こんなのアイザック様じゃないよぉ~!)


 なにやらイリアが俺を怖がるような目で見つめているが、何故だろうか。まあそんなことよりも、これは素晴らしい効果だ。噂には聞いていたが、まさかこれほどの腕前とは……。


「えへへ~!どう?アタシの薬の効果は!」


「最高だ……流石だと言いたい」


「照れちゃうよー」


 天才、とはまさに彼女のことを言うのだろう。


「一本あたり幾らだ?買えるだけ買いたいのだが――」


 *


「毎度ありー!いやぁこんなに買ってくれたお客さんは久しぶりだよー!」


「俺も、こんなに良い買い物をしたのは久しぶりだ」


「これで暫くは安心ですね!」


「ああ」


 これで、薬の買いだめが終わった。お互い得られたモノは大きく、円満な取引となった。


「お客さんいっぱい買い物してくれたからサービス!」


「はいこれ!この紙に記されてる呪文を唱えてくれれば、アタシがいつでも薬をデリバリーするよ!」


「おお!」


 ルスワールちゃんから、呪文が書かれているメモを貰った。この呪文を唱えれば、ルスワールちゃんが必要な薬を俺達に届けてくれるらしい。


 実際どのような手段を使って届けてくれるのかはさて置いて、なるほど、これはかなり便利だ。これぐらい良い店だったら今後も贔屓にしたいと思っていたところだし、実に嬉しいサービスである。


「ありがとうルスワールちゃん、また世話になる」


「はい!またのご利用をお待ちしておりまーす!」


 そして俺達は彼女に礼と別れを告げ、店から出た。去り際、薬屋・ルスワールの看板を再び見上げる。


 魔王を倒すまでの間は、当分彼女の店を利用することになりそうだ。 ……ふと、イリアの方に視線を移動させると、彼女は何だかホッとしていた。


(戻ってくれて良かったー……アイザック様がずっとあんなだったら私、耐えられないよぉ)


 イリアの胸中は分からないが、まあ良い。明日から、また冒険の旅を再開するとしよう。

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