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そうしてお姫様は、

ラミアの嘆き

作者: 東亭和子

 女は静かに涙を流した。

 そうして目の前の物体を見つめた。

 それはかつて人であったものの成れの果て。

 冷たくなった体はもう動くことはない。

 両手を投げ出し転がっている。

 少し前まで、その人は動いていた。

 生きていた。

 抵抗して嫌がっていた。

 それを殺したのは女だ。

 女は生きるために殺した。


 仕方なかった。

 そう自分に言い聞かせたのは何度目だろうか?

 そんなことも分からなくなるくらいに人を殺した。

 何百年も生きてきた。

 きっとこれからもそうやって生きていくのだろう。

 それがとても悲しい。

 どうして普通に生きていけないのだろう?

 人と同じような外見なのに。

 何故、人の血がほしいのだろう?

 水ではこの飢えは満たされない。

 いつから自分はこうなってしまったのだろう?

 もう記憶にないほど遠い昔はまだ人だった気がした。

 家族がいて、友達がいて、恋人がいた。

 いつから自分は化け物になってしまったのだろう?

 もう覚えていない。


 女は静かに涙を拭う。

 いつまでもここにいてもしょうがない。

 次の獲物を探さなければならない。

 人を殺したくないが、お腹がすくから狩りをする。

 我慢なんて無駄なことは過去にした。

 だから無意味なことはしない。

 本能のままに狩りをするしかない。

 女はため息をひとつこぼすと暗闇の中に消えて行った。


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