灰色のデンキパイロット
1
フュイイイイイン
「……空だったか」
灰色の全身タイツを着たかの様な、ヒト型のモノが空からやって来た。頭部に「灰色」の文字と、発電所を表す地図記号が書かれている。
「ワハハハハ、飛行タイプである灰色のデンキパイロットは、落として壊すなど、不可能!今度こそ死ね、我々に逆らう者など、この国には不要だ」
ごっ!
三輪は、石をぶつけた。
「お前らに価値を決められるいわれはない。あと、ブタにとっては『ニンゲンはみんなロクデナシ』らしいよ」
「我々を貴様の様な無能者と一緒にするな!」
フュイイイイイン!
灰色のデンキパイロットは、空中で蹴りを放った。
「体術は、あんまりだな。何か特殊な型かな?」
三輪は、灰色のデンキパイロットの蹴りをかわした。
「灰色のデンキパイロットに殺された者は、口からヌラヌラした不愉快なモノを吐いて死ぬ。早く殺されろ!」
「灰色は、そういう仕様か……。まさかビーム撃ったりは、しないわな」
ビーーーーーンム!
撃った。
2
『……ビビガジャービガジャ 』
「あんまり迷惑をかけちゃいけないよ」
『ビガ、ビガガジャー……』
結界の中では、無傷の卜部翠隼が、ボロボロなピピカドラグィラルを前に、散歩のついでですといった風情で立っていた。
「さて、じゃあね。気をつけて異界に帰るんだよ。グィーさん、結界解いていいよー」
「流石、拳鬼ト呼バレル卜部殿ダナ。ピピカドラグィラルハ、戦闘力ノ高イ竜神ナノダカ……」
グィグィラゲヴァーンは、結界を解いた。
「さて、三輪さんは大丈夫かな?」
「大丈夫ダロウ。我ヨリハ、弱ソウナ機械シカナカッタ」
「……グィーさん、龍族で三本の指に入る実力者だよね?」
グィグィラゲヴァーンは、グニャリと首を傾げた。
「卜部殿ガ連レテ来タノダカラ、カナリ強イノデアロウ?マルデ弱者カト思ウ程、強サヲ見事ニ隠シテイタゾ」
「グィーさんから見たら三輪さんは、弱者だねえ。ニンゲンの中央値よりは、高い戦闘力だけど……ちょっと心配だ」
卜部とグィグィラゲヴァーンは、三輪のいる方向へと走り出した。
3
「ビームなんか撃たすな!兵器だろこれ!」
「貴様ら無能者を根絶するための、必要な装備品だ」
ピピカドラグィラルを召喚した者達は、平然と嘯いた。
「倒すのにビーム必要な奴は、無能者じゃないだろ」
「利益を産まない者は、無能者だ」
「そんなんだから、支持率下がるんだ!」
「何だと?!」
「おーい、ピピカドラグィラルは異界に帰らせたぞー。用は済んだし、帰って酒飲もうよ、三輪さん」
「心配スル必要ハ、ナカッタナ」
灰色のデンキパイロットは、ビームを撃ったために発生した熱で、壊れていた。




